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2018.02.01
労働条件の改善・向上へ統一闘争を推進

大北 隆典氏(述)
(生保労連中央執行委員長)

 「総合生活改善闘争」についてお話しします。
今年度も「労働諸条件全般を見据えた総合的な生活改善闘争」として位置付け、組合員一人ひとりが「働きがい・生きがい」を実感できる総合的な労働条件の改善・向上に向け、統一闘争を推進してまいります。
 生保労連では、営業職員委員会・内勤職員委員会を中心に、一般情勢、業界情勢、労働界の動向等を踏まえつつ、組合員の期待に応え、その生活を守るためにはどうしたらよいのか、といった観点から、議論を重ねて参りました。そうした議論の中で、「人への投資」を通じた組合員のモチベーション・働き甲斐の向上や、「経済の好循環実現」に向けた取組み等が重要であることを認識しました。
 具体的には、営業職員関係においては、賃金・一時金といった労働条件はもとより、厳しい募集環境下にあるからこそ、挙績の安定や、収入の向上につながる「営業支援策」の充実が重要であるとの認識のもと、引き続き「営業支援策の充実に向けた取組み」を最重要課題として位置付け、営業職員「実質的な収入の向上」をめざし、取り組んでまいります。
 内勤職員関係においては、組合員の期待や納得感に応えるべく、現行水準を確保した上で、最大限、「年間総収入の向上」に向けて取り組んでいくことを考えております。
 業界情勢は厳しさを増していますが、雇用情勢などの一般情勢にも目を向けていく必要があると考えております。各組合におかれましては難しい春闘になるかと思いますが、生保労連としても、広く労働条件全般の改善に向けた各組合の取組みの後押しとなるよう、皆さんと共に戦っていきたいと思います。
 現在、生保産業、そして組合員を取り巻く環境はめまぐるしい変化の中にあります。こういう状況だからこそ、生保労連の旗の下、生保産業で働くものの意思を結集し、懸命に取り組むことが、確かな成長へとつながっていくものだと確信しております。
(「第51回中央委員会」挨拶から要約)

2018.01.23
新組織「Dai-ichi Innovation Lab」を新設

第一生命ホールディングス
新組織「Dai-ichi Innovation Lab」を新設

 第一生命ホールディングスは、InsTechの取り組みをさらに加速させ、イノベーションの具体化による新たなビジネスモデル創出を目指した新組織「Dai-ichi Life Innovation Lab」(以下「Lab」)を、今年4月に新設する。
 同社は、今後の生保事業を取り巻く外部環境の変化やテクノロジーの急速な進展を踏まえ、新たな価値創造・顧客体験による市場創造・需要開拓や生産性向上等に向けた体制を強化する。Labは東京とシリコンバレーに設置し、グローバルでの連携を強化することで、海外先端技術を積極的に取り入れていく。
 また、第一生命・第一生命ホールディングスの人財に加え、グループ会社の第一生命情報システムのシステム開発人財、外部専門人財(中途採用)、コンサルティング会社への外部委託等の多様な人財を融合することで、これまでの固定観念にとらわれない新しいアイデアの実現を目指す。また、オフィスは複数の会社が一緒に業務に携われるコワーキングスペースを設けるなど、新しいワークスタイルを模索した先進的なファシリティを準備し、ベンチャー企業等とのオープンイノベーションを推進させる。
【Labの取組領域】
 新組織では、機動的に小規模な概念実証(=Proof of Concept)等を繰り返すことで、健康寿命の延伸・QOLの向上等を目指した新たな価値創造・顧客体験の可能性を追求する。ヘルスケア領域やシニア層を対象とした新しい付加価値の提供による市場創造・需要開拓、IoT技術を活用したビッグデータ解析による新たな価値提供の研究・開発、AI(人工知能)やVR・AR(仮想現実・拡張現実)等を活用した顧客とのインターフェース改革および抜本的な生産性向上等を目指す。

2018.01.18
保険教育の充実

【主張】1月3集(生保版)

 少子・高齢化の進行する我が国において、若年時から学校教育現場で金融教育や社会保障制度のあり方を取りあげることが拡充されている。銀行業界や証券業界等では資産運用や投資教育等について展開していると言われる。なお、2021年度の中学校学習指導要領の社会科に「民間の保険」が記載されることになったことは、保険教育の拡充を求めてきた生保協会の要望が実現したものだ。今回は、保険教育の充実について取りあげることとする。
 新学習指導要領に、生命保険が記載されることになったのは、これまでの業界各社・関連団体において、社会保障制度を補完する自助努力の役割とその重要性につき、長年に亘る各種セミナーや講座等の取組みを実施してきたことが根底にあったことを含めて評価されたものと思われる。
 学校現場に対して、従前より保険教育の重要性を認識し、実践してきたのは(公財)生命保険文化センターである。同センターの事業のうち、「中学生作文コンクール」は、文部科学省・金融庁・全日本中学校長会の後援を得て半世紀以上に亘り「わたしたちの暮らしと生命保険」を題材に作文を募集、毎年、全国の中学生から力作が送られてきている。
 昨秋、第55回全国入賞者の表彰式に出席する機会があり、入賞作品を目にすることになったが、今回は過去最多となる応募となったということだ。いずれも中学生自身を取り巻く家族との繋がりを踏まえて、万一の事故や災害、疾病に際して生命保険による保障が残された家族の生活に大いに役立てられたことを率直な感性で書かれたもので、改めて生命保険の原点を教えられた思いになる。
 また、その中には営業職員が親身になって家族に寄り添った姿を描かれた作品もあり、この職員がいかに顧客を大事にしているかが窺われる。販売チャネルの多様化が叫ばれて久しいが、生命保険契約を通じた契約者・家族との繋がりを保てるのは営業職員に優るものはないことの証となる作品と言えよう。
 これからの作文を応募してきた中学生が近い将来、社会人となり、そして家庭を築く時点において、あるいは自らの生活設計を考える際に、生命保険は必要不可欠なものとして位置付けられることを期待したい。中学生という多感な時期に、生命保険に対して自身の体験を踏まえて作文として執筆することは、彼らの今後の人生設計において有益なものとなろう。
 同センターとしては、この作文コンクールに加え、生命保険協会と連携する形で実学講座や副教材の提供、中学生向けの出前授業など強化を行っていくこととしている。これらの諸活動により、若年世代が生命保険に対する理解を深める機会が増えることになる。更なる生命保険教育の拡充を望みたい。(石原)

2018.01.11
温室効果ガス―『グスコーブドリの伝記』

【主張】1月2集
-ところが六月もはじめになって、まだ黄いろなオリザの苗や、芽を出さない木を見ますと、ブドリはいても立ってもいられませんでした(宮沢賢治著『グスコーブドリの伝記』)
 昭和七年(一九三二年)、農学者/童話作家の宮沢賢治は死の前年、東北地方の冷害を題材に本作品を雑誌『児童文学』に発表した。
 昭和十一年勃発の二・二六事件、陸軍上層部は「高橋(放漫)財政」の「出口戦略」である軍縮に反発して、東北大飢饉に無策な政府に憤る青年将校を使嗾し、叛乱を起こした。
 世界を分断する難民問題。先進国、途上国を問わず、垂直的には、新自由主義の蔓延を原因とする経済格差、また水平的には、自然破壊によるアフリカ、南アジアの旱魃/飢饉を原因とする環境格差を生じている。さらに
宗教/民族紛争に大国の介入が複雑に絡んで混乱に輪をかける(ナオミ・クライン)。
 世界の難民は総計六千万人に及ぶし、環境(気候)難民は二千万人に達する(国連)。皮肉にも、かつての植民地から旧宗主国に押し寄せる大量の難民こそ、近代西欧文明に対する地球の「しっぺ返し」と言えるだろう。
 災害大国日本でも記録的な豪雨、スーパー台風の惧れなど、地球温暖化による海面気温上昇がもたらす深刻な災害が相次いでいる。
 国際的な異常気象への対応として「COP(国連気候変動枠組条約締結国会議)」が開催されてきたが、参加国の政治/経済的思惑もあり、紆余曲折を辿っている。「冬があるのだから気候変動はでたらめだ(ドナルド・トランプ)」等と気候変動を否定する声もある。
 ただ「IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)」は科学/技術的に夏期の異常高温、冬期の異常低温など人為起源による気候変動に関する知見を積み重ねていて、これを緩和する対策をも包括的に研究/提案している(日本気象学会等『地球温暖化』)。
 米加のアクチュアリー会(保険/年金数理の職能/学術団体)は科学的に気候指数の開発を進めているという(ニッセイ基礎研)。
 過去の気温、降水量、風力また海水面の観測値から、其々の月別平均値とそれからの乖離度を算出する。保険事業での活用を目的として異常気象と経済損失/人的損失との相関関係を表す「気候リスク指数」を分析する。
 我が国の保険法では、自然災害を保険者の支払免責事項とはしていない。異常気象の発生による環境災害は地震と共に保険経営上のリスクとして一層の研究/対応が必要となる。
―火山が、いま爆発したら、炭酸ガスは上層の風にまじって地球全体を包むだろう。そして、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろう(『グスコーブドリの伝記』)
 ブドリは身を挺して火山を誘爆させ地域の温暖化を図る。スウェーデンの物理化学者、ノーベル化学賞受賞者スヴァンテ・アレニウスの温室効果ガスに関する論文(一八九六年発表)を賢治は知っていたのだろう(客員・林)

2017.06.22
「バーチャル・リアリティ」で先進医療情報提供

【週間の動き】6月4集(生保版)

 三井住友海上あいおい生命は2017年5月22日、再生したバーチャル・リアリティ(仮想現
実、以下VR)映像を利用した情報の提供を開始する、と発表した。
 初回提供として、ガンの先進医療技術のひとつである粒子線治療を行う医療機関の施設見学を
仮想体験できる映像を同社社員・代理店を通じ顧客に提供し、普段目にすることのない最先端
の医療施設を実際に訪れたような体験をしてもらうことができる。VRで先進医療施設に関する
情報提供をするのは、国内生命保険会社では初めてとなる。

1.初回提供の内容
・映像内容:粒子線治療を行う医療機関の医療施設と、隣接する宿泊施設を360度パノラマ
映像で紹介。粒子線治療とは、ガンの放射線治療のひとつで、水素や炭素の原子核といったミ
クロの粒子を利用した先進医療。身体的な負担が少なく、外科的手術が困難な場合や高齢者にも
比較的容易に治療できる。1回の治療 時間も15~30 分程度と短く、 入院せずに外来での治
療が可能。
・撮影協力:メディポリス国際陽子線治療センター(鹿児島県指宿市)2011年1月、九州
初の粒子線治療専門施設として陽子線によるガン治療を開始。ガンに対する根本的、かつ身体に
やさしいガン治療の実践を通して、国内外のガン患者のQOL(生活の質)向上に大きく寄与す
ることを目的としている。同社は、2017年5月8日に母体である一般社団法人メディポリス
医学研究所と「ガン医療の理解促進に向けた連携と協力に関する協定」を締結している。
・視聴方法:専用の簡易型HMD(ヘッドマウントディスプレイ)「VRscope R」にスマ
ートフォンをセットして鑑賞。「VRscope R」 は、凸版印刷㈱が独自開発した簡易
HMD。スマートフォンにダウンロードしたVR映像を手軽に、立体感・臨場感あふれた映像で
仮想体験できる。
2.今後について
 同社では、日々進化する医療情報をわかりやすく伝え、「正しく知ること」の手伝いをするこ
とも、生保会社の社会的使命の一つと考え、さまざまな最先端の医療に関する情報提供・啓発
活動に積極的に取り組んでいる。
 ガン治療についても、医療技術の進歩に伴い多様化しており、先進医療を受けるガン患者数は
増えている現状である。粒子線治療を行う医療機関の医療施設を顧客により分かりやすく案内し
臨場感を持って知ってもらうことは、治療・施設選択の一助となるとともに、顧客のさらなる
安心につながると考えている。
 今後は、介護や障害等の疑似体験やガンが転移する仕組みのアニメーション解説等、さまざま
なVR映像を追加し、健康や医療について、より顧客に理解を深めてもらうようなツールの提供
を検討していく。

2017.06.01
保険会社における最新技術の導入について

【オピニオン】6月1集(生保版)

菅沼 重幸氏(談)
(オリックス生命保険常務執行役員IT本部管掌)

 当社では次世代の仮想化IT基盤として、近年注目を集めている『ハイパーコンバージド
インフラストラクチャ』(HCI)を2015年より導入、急伸するビジネスを支える基幹業務基盤
として活用しています。IT基盤の仮想化は、システムが変化に俊敏に応えるための定石で
す。従来、その効果を最大化するには、ストレージやサーバ、仮想化ソフトウェア等を大
規模に調達の上、構築と運用はノウハウを有するITベンダの支援が不可欠でした。HCIは、
ソフトウェアを駆使して汎用のサーバ機器を組み合わせるだけで高度な仮想化IT基盤を構
築できる技術です。サーバ数台程度の小規模の利用から、数百台まで大規模に拡張するこ
とが可能です。
 当社では中長期かつ総合的な視点に立ったIT戦略を毎年策定(改定)しています。2014年
当時、重点施策の一つとして掲げたのが、変化への俊敏な対応の実現と中長期コスト削減
の両立でした。業務要件ごとに開発しサイロ状態にあったシステムをサービス、データ、
インフラ等の階層別に構造改革するというものです。この当社のIT戦略の期待に合致した
技術がHCIでした。当時、国内金融機関においてHCIによる基幹業務基盤の導入実績は皆無
でしたが、実現できるベネフィットに加え、システムを自らの手に取り戻す好機(グッド
リスク)とも評価、早期の採用に至りました。
 AI技術が急速に進化し、デジタル変革の重要性が叫ばれる昨今、それを主導すべきITが
前例踏襲主義であっては、急伸するビジネスの期待には応えられません。先端技術の優劣
を見極める「目利き力」と、クイックに時宜にかなった活用を実現する「実行力」が今後
より一層重要となります。加えて、長期の契約を取扱う生命保険会社にとっては、技術の
取捨選択に長期的視点が欠かせません。本年当社では契約管理システムの将来像を20年先
まで見据え、システムの近代化に着手しました。今後も短期、長期双方の視点からIT戦略
を推進し、当社の競争優位確立への貢献を目指します。

2017.05.18
事業量目標達成を目指し、力を結集

【オピニオン】5月3集(生保版)

市村幸太郎氏(述)
(JA共済連経営管理委員会会長)

 平成28年度の普及推進結果については、推進総合目標は6年連続、重点施策目標は7年連続で
みごとに全国目標を達成することができました。
 また、4年ぶりに全地区目標達成という輝かしい実績を収めることができました。
 特に、平成28年度は、熊本地震にかかる損害調査や支払業務に従事しながらの目標達成であり
改めまして、JA役職員の皆さま、そして、ここにお集まりの本部長をはじめ連合会職員の皆さ
まのご尽力に対し、こころより感謝と敬意を表します。
 平成29年度は、「JA共済3か年計画」の中間年度として、3か年計画で掲げた各種施策の達
成に大きな影響を及ぼす重要な年度であり、初年度の達成状況や課題を踏まえ、取り組む必要が
あります。
 事業推進においては、「世帯に深く地域に広い推進活動」の確立に向けて「全組合員への訪問
・ご案内による接点強化と保障拡充」、「万一保障・生存保障の拡充に向けた保障性仕組みの取
組強化」、「平成29年4月実施の仕組み改訂を活用した次世代対策と保障拡充」を着実に展開し
ていく必要があります。
 JA共済をとりまく状況は大変厳しいものでありますが、我々には、いかなる事業環境下にあ
っても、最良の保障とサービスを提供するとともに永続的に共済責任を全うする使命があります。
 今後も、JA共済の使命を果たすべく、本日の進発式を契機に、組合員・利用者のニーズに沿
った推進活動を強力に展開するとともに、平成29年度の事業量目標達成を目指し、全本部の力を
結集し総力を上げて取り組んでいくことをお願いいたします。
 結びに、JA共済事業の益々の発展と、本日ご参集の皆さんのご健勝とご活躍を心よりお祈り
し進発式の挨拶といたします。

(JA共済 全国普及推進 進発式での挨拶から)

2017.05.11
ローマ帝国衰亡史―BIS規制

【主張】5月2集(生保版)

 一八世紀英国の歴史家E・ギボン、二世紀の五賢帝時代の最盛期に始まり、一五世紀のコンスタ
ンティノープル陥落までの『ローマ帝国衰亡史』を雄渾な筆致により著す。
 ところでバーゼル合意(BIS規制)の変遷を学ぼう。ヴェトナム戦争終結後の経済疲弊により
米国は変動相場制へと移行する。米欧銀行は為替投機を巡り相次いで破綻した。
 国際金融の秩序を目的とするバーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、一九八八年、国際業務を
行う銀行について信用リスク、市場リスクを担保する自己資本比率規制を定めた。初代BIS
規制(バーゼルⅠ)である。
 米ソのアフガン紛争を契機として東西冷戦の終結を見る。世界経済は多幸症状態に陥り、金融
規制緩和(金融ビッグバン)に沸き立つ。米国では大恐慌時に制定された銀行・証券の分離を定めた
「グラス・スティーガル法」を廃止、金融機関相互の乗り入れを可能とする「グラム・リーチ・
ブライリー法」を制定。
 その結果、肥大化したデリバティブ市場に多くの蹉跌を見る。危機意識をもつBCBSはオペ
レーショナル・リスクをリスク資産に算入する「バーゼルⅡ」を制定(二〇〇四年)。
 ところが「テロとの戦い」勃発、米国における戦争濫費は世界経済に不況を招来する。 
 押っ取り刀の金融緩和は、不動産バブルを発生。さらには病的に発達した「金融工学」の粋を
凝らしたサブプライム・ローン、債務担保証券、クレジット・デリバティブ等の連鎖的崩壊により
リーマン危機を呼び起こす。
 ここに流動性比率などに重点を置く「バーゼルⅢ」を急遽制定(二〇一〇年)したもののマクロ経
済動向、保護主義の台頭など規制を緩和する動きもあり、最終合意には至らない。
 米国発「戦争蕩尽→経済不況→金融緩和→金融危機勃発→BIS規制導入/改定」の悪循環こそ
荒廃/賭場化する国際金融の混乱に対する「泥縄」的な規制強化の「衰亡史」といえる。
 米国の現政権は、軍備拡張、また前政権による金融制度改革法「ドッド・フランク法」の骨抜き
宣言を行う。防衛産業、ウォール街の出番となる。先進国が財政政策によるソブリン・リスクに脅
える今日、杞憂で終わればよいが、三度あることは四度ある。異次元ともいうべき金融恐慌の惧れ
を否定できない。
 三七八年、ローマ帝国が大敗北したアドリアノーブルの戦いから四〇九年、ブリテン島(現在の
英国)の支配権喪失までの僅か三〇年で帝国は事実上終焉したという(南川高志)。
 原因は広大な辺境における諸民族の「ローマ人」なる自己認識の欠如である。EU域内での
「ヨーロッパ人」の曖昧さが、ヨーロッパと距離を置く英国のEU離脱を導いた。
 金融市場における国際協調の証しとしての「BIS規制」。「バーゼルⅠ」から三〇年後の
今日、来るべき「裁きの日」にも「蟷螂乃斧(『荘子』人間世篇)」に留まるのか。

(客員・林)

2017.04.27
新しい生命表に期待する

【主張】 4月4集(生保版)
 報道によると、昨今の死亡率の改善を受け「日本アクチュアリー会が新しい標準生命表を
作成する」という。生命保険制度の根幹に関わるものであり、関係者はその意味するところ
をよく理解した上で、自由闊達な議論と広範な視点からの意見を集約して、慎重な策定作業
に当たってほしい。
 その利用者の一人として、筆者は是非とも次のような視点を加えて作業を進めることを期
待する。これまで(表だって)議論されることが少なかったが、これからの経営環境を考え
ると避けては通れない視点である。
・死亡率は常に改善されるとは限らない。すでに我が国のものは世界最低レベルであり、こ
れ以上の低下は難しく将来は部分的にも上昇する可能性が高い。これは死亡保険料の値上が
りを意味するが、その値上げを可能とするための備えである。年金用の生命表(通常の生命
表とは逆に、死亡率が下がると年金保険料は上がる)では、すでに三〇年ほど前から同様の
懸念から実際に「生年別」の生命表が採用されている。
・終身期間の生命保険や医療保険が主力商品となり、実際にも百歳を超える長寿者が珍しく
ない時代にあって、生命表での最終年齢の設定と保険価格での使用方法については、再考す
る必要がある。かつて郵便局の簡易保険では、一定の年齢以上で一定の経過年数を過ぎる
と、保険料の払い込みを免除したり繰り上げ満期取扱いで祝い金を支払う仕組みがあったが
民営の制度として合理性を失わない範囲で、超高齢者の取扱いは検討に値する。
・生命表は年齢別にリスク評価することを前提としているが、高齢者になればなるほど対象
母数が先細りして安定性を欠き、同時に年齢以外の属性に左右される割合が増える。そのこ
とから一定年齢以上では年齢を大きく括ることで母数を大きくして安定性を測り、一方で他
の属性要素の導入余地を広げるといった工夫が必要である。実際に筆者が関係した終身期間
の医療保障では、そのようにすることで目的を達したケースがある。
・今や自動車保険ではリスク細分型が主流であるが、これと加盟会社の料率算定機構による
参考純率への順守義務との関係が明解とは言えない(*)。生命保険でも同一の年齢でも一
定条件に当てはまると保険料が安くなるノンスモーカー割引などが見られるが、これも一種
のリスク細分型とすれば標準生命表との位置づけ関係は決して明解ではない。現実問題とし
て対応が難しいことは承知しているが、それでも生命表の計算主体としては、それなりの統
一解釈が必要であると考える。
(*)リスク区分を勝手に細分して、その一部を低く評価すること自体が問題であるが、大
きく譲って細分することまでは容認するとの考えもある。それでも、細分してその一部を低
くするなら他の部分は高くしなければ辻褄が合わないことは言うまでもなく、リスク細分型
とも呼べない。  (客員・岡本)

2017.04.24
働けなくなるリスクへの保障を拡充した新商品発売

丹保 人重氏(述)
(三井住友海上あいおい生命取締役社長)

 創立以来、私どもに皆様方のあたたかいご愛顧を賜り、着実に成長できましたことを
心より感謝申し上げます。
 生保業界は、少子高齢化や人口減少によって、死亡保障分野は横ばいですけど、継続
的な低金利を受けた標準利率の改定など、厳しい環境が続いているわけです。一方で、
医療技術は進歩しており、長寿化そして女性の社会進出などによって、世帯の収入構造
が変化していることを背景に、世帯主への死亡保障と同様に、1人ひとりの個人の方が
ケガや病気で働けなくなってしまうリスクへの備えが益々重要になっているわけです。
 当社は、これまでも死亡保障に加え、様々な医療や介護商品をご提供してきましたが、
この度、働けなくなるリスクへの保障を大きく拡充させた新商品を4月から発売します。
 就労不能状態における新たな保障、そして公的介護制度と連動したお支払い等に加え、
業界トップ水準の内容となる保険料免除特約の導入など、分かりやすくて使いやすい商
品としております。
 当社は、医療保険分野でも同様の保険料免除特約を備えた「新医療保険Aプラス」を
昨年5月に発売しました。皆様のご好評を得て、10ヵ月で14万件を超える新契約をいた
だきました。
 万一の時や働けなくなった時の収入減には「新総合収入保障」。介護や疾病入院など
で生じる支出増には「新医療保険Aプラス」と、当社の2大主力商品によって、お客様
1人ひとりの人生に立った安心をお届けしてまいります。
 これからも当社は、ニーズに応えたお客様本位の魅力的な商品・サービスをご提供
することで、少子化、長寿化、女性の活躍支援など、社会的課題の解決に貢献してま
いります。
(3月6日の「新総合収入保障/新収入保障」説明会での挨拶より要約)
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