「アマゾン銀行」が金融業を変革する 【主張】11月3集(生保版)

「アマゾン銀行」が金融業を変革する
 このところ、異業種からの銀行参入の噂が絶えない。『選択』二〇一九年九月号によると、「リクルートは早ければ今年度中に銀行設立準備会社を立ち上げようとしている」との情報がある。
 明文化されたルールではないが、他業界から金融業界への新規参入のさいには、バックアップする既存銀行の協力や出資が必要であるとする金融庁の暗黙の方針があるが、リクルートはすでに三菱UFJ側のバックアップもとりつけているといわれる。
 リクルートグループといえば、リクナビ、タウンワークなどの人材の採用や、じゃらんホットペッパー、SUUMOなどのマッチングサービスのイメージがあるが、このところ中小企業や小規模事業者の経営支援にいっそうの力を注ぎ始めている。
 グループ企業であるリクルートファイナンスパートナーズは、オンライン完結型の融資事業「パートナーズローン」を開始し、これまで蓄積してきた取引データを使って、すでに多くの事業主へ融資を行い、好評を得てきている。
 リクルートだけではない。ネット通販の王者、米アマゾン・ドット・コムも、さらなる経済圏の拡大に向けて、金融分野を現在着々と強化しており、ごく近未来において、「アマゾン銀行」が設立される可能性はきわめて高いといわれる
 米ベンチャーキャピタル(VC)の大手、アンドリーセン・ホロヴィッツのゼネラルパートナー、アレックス・ランベル氏は、金融サービスに本格参入する可能性の高いIT大手企業を列挙したうえで、アマゾンについて次のように述べている。
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 最も手ごわいのはアマゾンだ。同社が低金利ローンや銀行口座の開設などに乗り出せばサイトの売り上げはさらに増えるものと思われる。    ──アレックス・ランベル氏
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 銀行の三大業務は、「預金」「貸出」「為替」であるが、アマゾンが最も早くから始めたのは「為替(決済)」である。ワンクリックで、決済、発送の手続きが完了する。
 「貸付」は、アマゾンレンディング、法人の販売事業者のビジネスの拡大を支援する短期運転資金型ローンの提供である。融資判断は、蓄積されたアマゾンの商流、物流、金流によって行われるので、万全である。
 三大業務のなかでも一番規制が厳しいのがお金を預かる業務、「預金」である。アマゾンは、これに対して、アマゾンギフトカードや、アマゾン・キャッシュ(アマゾンチャージ)で事実上これを実現し、金利はポイント付与で対応している。
 アマゾンは従来型の銀行をつくる意思はなく、アマゾンのポリシーに基づく独特の銀行になる。保険業進出も十分あり得る。