チャネル多様化の動向 【主張】11月4集(生保版)

チャネル多様化の動向
 今回の標題は、生命保険の加入チャネルの多様化の実態について、公表された調査報告等を参考に考察するものである。
 生命保険文化センターが9月に公表した『令和元年度 生活保障に関する調査〈速報版〉』は、生活保諸意識や生命保険の加入状況等を時系列で把握する目的で、3年ごとに実施しているものである。
 その第Ⅶ章では、「直近加入契約の状況と今後の加入意向」が記されており、直近加入契約の加入チャネルとして「営業職員」は占率を下げてきているものの47%と最も多く、依然他のチャネルとは大きな差がみられる。第二位の「保険代理店の窓口・保険代理店の営業職員」は、調査ごとにその占率を高めてきており、今回初めて10%超えとなった。
昨今、営業職員を販売チャネルの中心に据える生保会社においても、金融機関と提携した代理店化の推進や乗合代理店の買収による自社ブランド化の展開など、チャネルの多様化は著しい。このことは、取引先企業(契約地盤)であってもセキュリティの観点からの職員の出入りが厳しく制限されてきていることや地区活動において不在住宅の発生など、従来の体制のままでは営業活動が困難・先細りとなることから、多様化に舵を切ったものであろう。従って、代理店チャネルは、程度の差こそあれ、徐々にその占率は高まるものと思われる。
 インターネットを含めた「通信販売」は5%台と低位で推移している。今後のデジタル化の進展とともに、ミレニアル世代やZ世代と称される若年層が社会の根幹を担う時にはスマートフォンを駆使した生命保険加入は増えることが考えられる。現在、一部の生保会社において、若年層向けの商品を取り扱っているが、PC、携帯電話を経て“人を介さない”デジタル生保がどのように評価され、販売チャネルとして確立していくことになるか注目されるところだ。
 調査ごとに占率を低下させている「営業職員」をどのように位置づけるか。わが国の生命保険市場において、加入意向を持つ者が全て自身の手で検討したうえで申し込むケース、前記の所謂“人を介さない”チャネルが主流となることはないと想定される。それは、例え“保障は自分で決める”という者でも、最後は専門家に相談して「背中を押して貰いたい」との思いを抱く者の多いことが聞かれるからである。
 担当地区や職域における訪問営業が著しく変容している現在、本欄執筆者の一人である平野浩氏(元明治生命)が提唱する「営業拠点の集客化」と「複数チャネルが有機的に連携するオムニチャネル化」が有効ではないか。このうち、オムニチャネルを既に実施し、実績を表しているオリックス生命や楽天生命等の業績がどのように進展するかにより、生保営業に新風を吹き込むことになることが期待されるところだ。         (石原)