地球温暖化問題と発達障害【主張】12月1集(生保版)

地球温暖化問題と発達障害
 スウェーデン人の環境活動家グレタ・トゥンベリさんの地球温暖化問題に関する発言や行動が世界の注目を集め、若者を中心に大きな潮流を作り出している。彼女の最大の特徴は、さまざまな問題がある中で、地球温暖化だけに焦点を当てて、その解決を迫っていることだ。こうしたことができるのは、彼女が発達障害の一つ、アスペルガー症候群だからこそ、既存の枠にとらわれずに、問題に向き合うことができるからだという。これに対して、トランプ大統領やプーチン大統領などが皮肉を込めた心ない発信や発言をしている。
 これまで、私は、地球の温暖化が大変大きな問題であることは理解していたが、これほどまでに早く、台風、豪雨、豪雪などが甚大な被害をもたらすとは思ってもいなかった。その意味では、昨今の状況は、極めて衝撃的である。さらに、今世紀後半には、これまで以上に強く大きなスーパー台風のおそれもあるという。このように考えると、地球温暖化問題は、まさに、私たちにとって喫緊の課題だ。
 グレタさんの言っているような抜本的な地球温暖化対策を進めようとすると、実際にはさまざまな障害があることは、すぐに解る。しかし、そうした障害を考慮した取組みでは、なかなか進展しない。だが、それでいいのか、決してそうではないだろう
 もちろん、地球温暖化対策だけではなく、実際の台風や豪雨などに対する事前の十分な対策も不可欠だ。具体的には、堤防の全国的な強化など枚挙に暇がない。また、避難者のプライバシーが守られないなどの問題があることから、難民や被災者に対する人道援助の最低基準を定めた人道憲章と人道対応に関する最低基準(スフィア基準)の達成も挙げられる。自然災害だけ考えても、それ以外に、今後三〇年以内に七〇パーセントの確率で起きると予測されている、マグニチュード七程度の首都直下地震、今後三〇年以内に七〇%から八〇%の確率で起きると予測されている、マグニチュード八から九の南海トラフ巨大地震がある。これらの被害想定を見ても、台風一九号の比ではなく、きわめて甚大な被害を国民にもたらすことが想定される。このように、高い確率で発生することが予想されている大規模な災害がある。被害が出たら、国民の自己責任だという考え方では決して済まされない。
 私には、こうした課題は、北朝鮮がミサイルを撃ち込んでくるおそれがあるという問題などよりは、国民生活にとって喫緊のものだと考える。このため、地球温暖化だけではなく、こうした問題に絞って、資源と人を投入して解決しないといけない。そのためには、グレタさんのように文字通り脇目も振らずにやる必要がある。その意味では、発達障害を肯定的に捉える必要もあるのではないか。(客員・宇野)