シニア起業【主張】12月3集(生保版)

シニア起業
 急速な少子高齢化の進展による働き手不足の懸念から定年延長、嘱託雇用制度の活用等55歳以上のシニア世代は新たなる人生の目標の再設定を余儀なくされる時代となった。一昔前まで60歳ハッピーリタイアメントが当たり前だったものの今や人生100年時代を見据えた老後資金の準備、生き甲斐・働き甲斐を求めてシニア世代は孤軍奮闘している。
 日本の開業率は欧米の半分程度であり、長年低水準に留まって産業の新陳代謝が進んでいないという状況である。日本の開業率が低水準に留まっている理由として起業に伴う費用や手続きの煩雑さなどが挙げられている。政府の成長戦略の中で日本の開業率を欧米並みの10%に引き上げることを目指している。
 起業家が起業する目的として、①自分の裁量で自由に仕事がしたい②社会貢献したい③仕事の経験、技術、知識、資格等を生かしたい④アイデアを事業化したい。が挙げられる。
 中小企業白書2017年版によると創業後5年以上10年以内の起業後の企業成長と起業家の年齢に関するデータ分析によると創業後の成長ペースによって、①高成長型(上場企業以上の売上高伸び率で成長)、②安定成長型(創業期と比べて企業規模が拡大)、③持続成長型(企業規模が変わらないあるいは縮小)の3つに分類される。
 3タイプに分類された企業とその経営者の年齢を照らし合わせてみると成長率の高い企業タイプほど若い年代の割合が高くなる傾向にある。しかし、いずれの成長タイプにおいても50歳以上の起業家が半数以上を占めている。50歳以上の起業家の割合が「高成長型」(52・8%)、「安定成長型」(58・5%)、「持続成長型」(69・8%)となっていることから、起業とその経営において年齢を重ねていくことは不利ではなく経験やキャリアは生かされると考えられる。
 一方業種別開廃業率(2015年版中小企業白書)をみると開業率が廃業率を上回っている業種は情報通信業、医療・福祉業、教育・学習支援業の3業種のみである。金融・保険業は開業率9・6%と全業種で2番目に高いものの廃業率も9・7%とこちらも全業種中2番目に高くなっている。
 今後金融・保険業の分野でも新たなテクノロジーの活用、オープンイノベーションによって、持続的なシニア起業の出現とその成長が期待されるところである。
 公的年金への不安、人手不足とは言えシニア世代に対する厳しい職務の付与、終身雇用が崩れ副業なり、手に職をつけないと社会での存在感が薄れていく時代。人生の後半戦にどう立ち向かって行くのか?セカンドキャリアを考えざるを得ない55歳以上のシニア世代はまさにその30年超の実務経験と人脈を生かして国や特定行政庁の支援のもと「シニア起業」に踏み切ることは今の時代に合った一つの選択肢ではないだろうか。 (客員・原口)