厳選採用と育成―特筆事例の紹介【主張】4月2集(生保版)

厳選採用と育成―特筆事例の紹介
 今回の標題は、オリックス生命が2016年10月から実施している直販チャネル(コンサーブアドバイザー〔以下「CA」と略〕)の現状に関する報告会を取材する機会があり、その内容を踏まえて同社の実態を考察するものである。
 同社の直販チャネルについては、2017年1月3集号(第4695号)本欄に「新たな取組みに注目」と題して紹介しているが、先の報告会では、営業を開始した16年10月から19年度末までの実績状況が明らかにされている。それによると、CAの応募者総数26,163人に対し入社数は373人と採用率は1・4%と文字通りの厳選採用が貫かれていること、そして在籍率をみると全体で87%と高水準を維持していることが紹介された。
 同社のCAは、業界初の固定給で査定解雇のない制度であることが、従来からの生保業界に見られる制度(フルコミッションのコンサル型モデル、伝統的生保の営業職員モデル)と大きく異なっている点である。この制度は、片岡社長が嘗て業界他社の経営に携わっていた際、優秀な人材を採用したにも拘わらず成績評価による影響で退職を慰留できず、結果的にその方の人生を狂わせてしまったという想いがあったからこそ、採用したものだ。
 採用のプロセスとしては、最初のオリエンテーションからセッション①、②、③を経てセレクションまで5段階による選考を辿るもので、業績を挙げただけ収入が高くなるフルコミ型モデルとは異なることから、採用に至る間に、「我々の仕事がどれだけお客様の役に立てるかという生命保険の理念に共感して戴かねばならない」としている(報告会での片岡社長談、2020年3月2集号1頁「オピニオン」参照)。
 その結果、応募者数の1・4%に当たる317名が在籍しており、一人当たりの生産性は非常に高い実績を示しているとされる。このことは、従来の業界モデルとは明らかに一線を画すものであり、業界全体から見れば未だ少数ではあるものの、精鋭人材が集まった直販チャネルと言えよう。
 生命保険営業は、誰でも簡単にできる仕事ではないことを理解した上で、新たな世界に飛び込んで来る方々に対し、会社としては責任を持って育成・成長させなければならない。片岡社長はじめ同社所管部署は、このことを採用当初から、十分に把握していることと思われる。
 採用後の育成期間では、資料請求、ダイレクト既契約、イベント開催、オリジナルマーケットなど、同社独特のマーケットを駆使して顧客基盤の開拓を実践していることが報告された。少子高齢化の進行する市場環境の中で、同社の取組みは3年半を経て順調に伸展している。その結果は、保有契約実績に反映されているが、生命保険営業にどのような影響を及ぼすか、今後も注目していきたいところである。        (石原)