テレワークとBCP【主張】4月3集(生保版)

テレワークとBCP
 世界各国で猛威を奮っている新型コロナウィルス(COVID19)の感染拡散が続く中、2月25日に政府が「新型コロナウィルス感染症対策の基本方針」を発表し、その中で企業に対して発熱等の風邪症状が見られる職員等への休暇取得の勧奨、テレワークや時差出勤の推進等を強力に呼びかけた。この要請を受けて大企業を中心としてテレワークの実施を行う企業が相次ぎ、改めて企業のBCP(事業継続計画)の実効性と危機管理対応能力が問われることとなった。
 「働き方改革関連法」の施行により時間外労働の上限規制が中小企業で開始される矢先(大企業は昨年4月実施済)の今回のテレワークの実施は、改めて災害が起こる前のBCP対応を普段から定期的に真剣に取り組んでいくことが必要だと思い知らされた。
 一言でテレワークと言っても在宅勤務(自宅利用型テレワーク)、モバイルワーク(外出先でパソコン、携帯電話を使って働くこと)、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス等会社以外の別拠点で働くこと)の3つに区分される(日本テレワーク協会による)。今回の政府の要請によるテレワークは在宅勤務がメインと想定され、実際政府のテレワークの要請に対してマスコミは臨時休校となっているお子さんを相手にしながら、夫婦交代でスカイプ等のビジネスチャットツールやパソコンのカメラを使ったビデオ会議等ICT(情報通信技術)を駆使し対応している家庭の現場をテレビ中継していた。
 大手生損保会社でも数年前からテレワークを導入している。まずはモバイルワークの先行実践の後、そのノウハウを活用し管理職のテレワークから段階的に管理部門の社員や他部門へ普及し全社導入を図っている。一方で中小企業では導入コストが掛かるので導入に二の足を踏む会社も多いが、ビジネスチャットやテレビ電話会議システム、ファイル共有サービス(クラウド)などはサブスク(月額課金)で導入できるものが殆どである。かつては専用システムの構築が必要なケースが多かったが各社にマッチしたクラウドサービスを導入することにより月額数万円程度で利用可能である。
 思えば2011年の東日本大震災を契機に各企業ともBCPの一環でテレワークの実験・導入を推進してきたものと思われる。今回の新型コロナウィルス対応によるテレワークの実施は、今後更なる導入企業拡大の契機となるかも知れないが、テレワークの実施に際して肝要なのは管理職のマインドチェンジの重要性である。同じオフィスにいるなら常時勤務態度を監視できるが、テレワークの場合アウトプットから所属員のパフォーマンスを正しく評価する必要があり、各種ツールの導入前に求められる。また従業員側も特に在宅勤務の場合、相応に自宅の就業環境を整備する必要があろう。なにせ欧米諸国と違って日本の住宅事情は「ウサギ小屋」と揶揄される非常に限られたワークスペースの家庭が多いので。           (客員・原口)