「コロナ問題」を、どう捉えるか【主張】4月4集(生保版)

「コロナ問題」を、どう捉えるか
 新型コロナ・ウィルスによる肺炎感染症が中国(武漢)から全世界に広がり、ついに国連WHOがパンデミック宣言を発するまでに至った。その悲惨な様子は連日テレビや新聞で報道されており、今では欧州や米国での状況は、震源地の中国を上回る程に深刻なものになった。
 この感染病については、「感染力が非常に強い」点は明らかだが、肝心の予防や治療に関する知見は無きに等しく、医学や疫学そして厚生行政などの関係分野の専門家も全くの手探り状態である。そして学校を一斉に閉鎖したり外出の自粛や大規模の集会やイベントの取りやめなど・・都会の繁華街も人出がめっきり減り、目には見えない不気味なウィルスの影響を受けて、市民生活や企業活動が実際に大きく脅かされるまでとなった。
 そのため各国政府は、感染拡大の阻止に全力を注ぐとともに、大車輪で特効薬の開発や医療環境の整備と強化に取り組み、さらには深く傷ついた国民生活への支援であったり景気対策にも負担を惜しまない姿勢を示している。
 
 われわれ保険業界も、このパンデミックには直接・間接に大きな影響を受けることになる。保険会社だけに、先ずは直接的な①各種の保険給付の増加が考えられる。ただし実額は思うほど大きくはないかもしれない。
 問題なのは、直接性は少ないが対応を誤れば決定的なダメージとなる次のような項目である。②消費者意識と保険ニーズの変化、③保険営業の活動面の制約、④景気動向と保険市場への影響、⑤資本市場の混乱と保有資産の減損・毀損 
 いずれもが保険経営において逆風となることから、それらへの適切な対応が急がれるのは言を俟たない。ただし適切な対応と言っても、取り敢えずの応急対応で終えてしまうのではなく、逆風を逆手にとって保険業界の積年の課題や難問の解決に当てる・・そのような逞しさも同時に期待したいところだ。
 「災い転じて福となす」と言う。また捉え方によっては「ピンチはチャンス」との教えもある。私の長いサラリーマン生活で出会った人達から学んだ経験則では、いつも「忙しい、忙しい」と口癖のように言う人は、汗水を垂らしながらも碌な仕事をしていない。反対に、一見して暇そうにしている人の方が、事態の核心をしっかり見据えて、涼しい顔をしながらも素晴らしい仕事をしている。
 
 保険業界の経営者には、厳しい逆風の今こそ、緊急対応を急ぐ一方で、一息入れて「積年の課題であったり構造問題の解決に充てる好機だ」と捉える心の余裕が必要だと思う。同様のことは、保険以外の金融業界そして監督官庁や金融研究者の面々に対しても申し上げたい。         (客員・岡本)