認知症予防に万全な対応を望む【主張】5月2集(生保版)

認知症予防に万全な対応を望む
 新年度を迎えたが、新型コロナウイルス感染症対策に伴う「緊急事態宣言」の発出により、生保業界にとっては顧客開拓に多大な影響を及ぼすことが懸念されている。このような中で、生保各社は2~3月にかけて相次いで新商品・サービスを発表したが、今回の標題は、大手各社が発売を開始した「認知症保険」について、生保市場に与える意義を考察するものである。 
 年度始を期して、新商品が発売されるのは多くの業界において共通したことであるが、生保業界では大手4社(日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命)が本腰を入れて商品開発に乗り出すかどうかで、当該商品自体の販売動向の趨勢が決まってくる側面が多いものと思われる。
 「認知症」を保障する商品は、太陽生命の「ひまわり認知症治療保険」を嚆矢に、朝日生命の「あんしん介護認知症保険」に続いて、本年初めまで数社が同様の商品・サービスを提供していたが、一昨年に第一生命がかんたん告知「認知症保険」を、本年2月から明治安田生命の「認知症ケアMCIプラス」、3月に住友生命の「認知症PLUS」、そして4月には日本生命が「認知症サポートプラス」の発売により、大手生保の商品が出揃うことになった。
 改めて言うまでもないことだが、少子高齢化は一層進行してきている。そこで課題となるのが健康寿命の延伸。これに大きな障害となる疾患が「認知症」である。厚生労働省によれば、5年後には7百万人を超える患者数になると推計されているが、この事態を看過すれば、我が国経済社会全体にとって、悪影響をもたらすことは必定となる。政府としても、相当な危機感を持って昨年『認知症施策推進大綱』を公表し、対応することを明らかにしたところだ。
 先に記した生保各社の開発した認知症商品・サービスにおいては、約定された給付金保障に加え、認知症予防に注力したサービスの充実している点が評価できる。軽度認知障害(MCI)は、認知機能の低下した状態とされるが、この時に的確な取組みを実施することにより、少なからず健常な状態に戻ることが明らかになっている。また、専門家の監修による脳トレ等を駆使することで、早期発見・早期治療に繋がる効果も大いに期待できるものと言える。
 認知症は、患者本人だけの問題を超えて、家族・親族をも巻き込むことにもなりかねない。公的介護保険制度と保険会社が提供する商品・サービスの活用によって、一層裨益することとなろう。なお、患者を専門の施設へ入居させねばならない事態が出来するケースも想定されるが、その際には信頼・信用のおける事業者との提携が必要となる。この観点から、アクサ生命・住友生命の両社が介護関連サービスと提携した「ウェルエイジングサポートあすのえがお」は注目されるサービスと思われる。          (石原)