銀行窓販の真の適正化を望む【主張】7月1集(生保版)

 銀行窓販の真の適正化を望む
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、政府発令の「緊急事態宣言」下にある4月27日、生保協会は、「外貨建保険販売資格試験の実施要領等について」(以下「実施要領」)を公表した。今回の標題は、この実施要領を踏まえた上で、銀行等における保険販売の在り方を考察することとしたい。
 実施要領は、同協会が去る2月に発表した「外貨建保険の苦情の状況と対応について」で明らかにしたとおり、消費者からの苦情に係る対応策の一環として、実施するものである。今回の試験実施および業界共通教育制度の充実によって、年々増加してきている苦情の縮減が現実となることを望みたい。
 国民生活センター(以下「センター」)が2月20日に公表した「外貨建て生命保険の相談が増えています!」によると、『為替変動リスクや手数料の負担があることを理解していなかったり、生命保険であることを認識せずに契約しているケースや、老後資金や元本保証希望などの消費者の意向と異なる勧誘・契約をされたケースが高齢者を中心にみられる』と指摘している。同報告書の事例1~6では、指摘事項を裏付けるケースが詳細に示されており、外貨建保険販売に携わる全ての関係者は、消費者の信頼を損なうことのない販売態勢を改めて確立すべきだ。
 センターによる銀行窓販に関する報告書は今回に限ったことではない。これまでの販売適正化要望に対し、銀行・生保両協会としても預金との誤認防止や契約に際し、家族の同席を求めるなどの規定を設定したとされる。
 しかしながら、一連の規定後においても苦情件数が一向に減少しなかったのは、販売現場での利益至上主義に根ざした“暴走行為”が存在していたからではないか。これを明確にした報道として「クローズアップ現代+」(NHKテレビ)が挙げられる。2017年12月に放映された同番組では「金融商品の押し売り、銀行員からの“内部告発”」と題して、上司からの命令により、およそ必要としない高齢預金者に対して金融商品勧誘に苦悩する若手銀行員の姿が浮き彫りにされていた。まさに衝撃的な内容であり、販売・勧誘の在り方について、他山の石とすべきものと考えられる。
 このような推移を辿ってきた中での販売資格試験と業界共通教育の拡充となる。金融庁は、顧客本位の業務運営の観点から販売の適正化を提起しているが、販売に携わる者がいかに臨むことになるのか、その“本気度”が試されるところだ。
 銀行窓販チャネルは、営業職員チャネルに次ぐ有力な販売チャネルと位置付けられる。センターへの苦情相談が増加する一方で、適正な販売を貫いている銀行代理店も数多く存在するものと思われる。今回の販売資格試験創設を契機として、とりわけ高齢預金者のニーズを的確に把握することで、センターへの苦情相談が劇的に減少し、早晩皆無となることを期待したい。        (石原)