オフィス環境のニューノーマル【主張】8月3集(生保版)

オフィス環境のニューノーマル
 政府が緊急事態宣言を解除したのは去る5月25日であるが、昨今危惧されていた新型コロナ感染者数が再び更なるピークを迎え増え始めている。クラスターも発生しており、経済の停滞を防ぐためにも緊急事態再宣言は困難なため、マスク着用、三密回避、手洗い励行、テレワーク、オンライン会議の継続等我々の出来うるニューノーマルの推進が引き続き欠かせなくなってきた
 日立製作所は2021年4月から日本の従業員の7割を週2-3日の在宅勤務にすると発表し、新型コロナの収束後もテレワークによる働き方の新常態(ニューノーマル)を作っていくと同時にジョブ型勤務の大改革を宣言した。海外では当たり前のジョブ型勤務は日本では中々定着してこなかった。ジョブ型勤務の制度設計はそうた易くないからだ。業務内容や目的等を盛り込んだジョブディスクリプション(職務定義書)の作成が特に大会社ほど職種の数が多いので大きなと負荷となる。
 欧米の有力企業も続々とテレワークを標準化しており、当初コロナ感染の回避を目的としていたもののテレワークの標準化によって労働生産性の向上も期待されている。一方先進7か国で労働生産性が最低の日本の日本生産性本部の5月の調査ではテレワークを体験した人の7割弱の人が効率が下がったと回答している。その理由はやはりテレワークを行うための環境整備(通信、IT、家族との協調)が未熟であったからだと考えられる。厚生労働省のLine登録者を対象とした4月の調査ではオフィスワーカーのテレワーク実施率は東京が52%と高いものの全体で27%、地方では5%未満という県も目立ち地方では一桁台が多いようである。今回の新型コロナ対応でテレワークを実施したくてもコスト的に対応できなかった企業も今後に向け環境整備に取り組む企業が増えている。
 またテレワークによって通勤定期代の支給を止め実費支給とする会社も出てきており、在宅勤務による光熱・通信費等を一律支給するケースもある。経営者サイドに立てば従来の広い都心のオフィスは必要なくなってきており、事実オフィスの賃貸借契約更新前に解約し手狭のオフィスに移転するスタートアップ企業も増えてきた。
 以前は社内用会議室、来客用会議室を交通至便な本社に準備している会社が多かったが、テレワークやオンライン会議の活用で必要最低限の本社会議室やレンタル会議室またはサテライト会議室で十分という声も聞こえてくる。
 従来の大都市圏集中の勤務体制から従業員のライフスタイルに合わせた勤務体制、オフィス環境が整備されていくものと思われる。これ自体は地方創生にも貢献できるし、多様な従業員の価値観に合わせた能力評価体系に基づいてジョブ型人事制度によって生産性の向上も図られるものと思われる。
 新型コロナを契機としたニューノーマルによって新しい価値観が創造されオフィス環境のニューノーマルが定着することに期待したい。           (客員・原口)