顧客本位の販売態勢【主張】9月3集(生保版)

顧客本位の販売態勢
 標題は、8月5日発表の金融審議会「市場ワーキング・グループ報告書―顧客本位の業務運営の進展に向けて―」(以下「市場WG報告書」)および7月3日発表の「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」(以下「モニタリング結果」)を踏まえて、金融機関の顧客に対する販売態勢を考察するものである。
 その前提として、国民生活センターや生保協会に寄せられる外貨建て窓販商品の苦情件数が依然として多いことが挙げられる。金融庁としては、生保協会との意見交換会において銀行代理店と保険会社が一体となって顧客の立場に立った募集及びアフターフォローの態勢整備を求めている。
 この指摘を受け、生保協会では今年度より外貨建保険販売資格試験の実施と業界共通教育の拡充に着手することを明らかにした。個社段階でも、金融機関代理店向けの研修やアフターフォローツールの作成等により苦情縮減に本腰を入れた取組みの推進は多とするところだ。
 「市場WG報告書」は、1顧客本位の業務運営の更なる進展に向けた方策、2超高齢社会における金融業のあり方、で構成し顧客の立場に立った適切な販売とともに、高齢顧客(とりわけ判断力の低下した顧客)への態勢整備に努めることを示している。
 このような内容の報告書が出されたのは、「モニタリング結果」の中に示されているように、適正な情報提供に基づく好事例が認められる一方で、「販売方針や想定する販売顧客層を設定しないまま、金利の優位性をアピールした販売により、預金と誤認したとの苦情が発生するなど、顧客保護の観点からの問題も認められた」と指摘されているとおり、顧客本位を否定する販売が今なお横行しているからに他ならない。また、外貨建保険と同様に、リスク性商品である投資信託における“回転売買”は、顧客の意向を蔑ろにした、販売会社の自己都合による利益追求販売そのものである。
 2017年3月に策定・公表の『顧客本位の業務運営に関する原則』を3年を経ても、それを遵守できない一部の販売会社に対して監督官庁としては、自浄作用を待つだけではなく、行政指導を含めた処分を発出することも必要になるのではないか。
 7月1集号本欄でも記したとおり、銀行窓販チャネルは、営業職員を擁する大手生保においても、近年、代理店数を拡大してきている有力な販売チャネルと位置付けられている。そうであるならば、社会から指弾されることのない販売態勢の構築は必須であろう。大手生保では、顧客へのアフターフォローに関するベストプラクティス集を作成し、各金融機関代理店に出向いて説明するなど、適正な販売態勢構築に努めていることは、まさに顧客本位の業務運営であり、業界全体として共有化を図るべき取組みといえる。 (石原)