何事にも「手順」は大事だ!【主張】3月2集(生保版)

何事にも「手順」は大事だ!
 一時期、保険特有の相互会社を株式会社へと組織変更するのが流行ったことがある。その中に組織変更と合わせて企業合併の実行を計画したケースが二例あった。
 一つ目の例は、先ず二つの相互会社がそれぞれ株式会社に変更し、次にそれら二つの株式会社が合併する方式をとった。そして二つ目の例では、先に二つの相互会社が合併し、次に合併で生まれた相互会社を株式会社に変更する計画であった。
 組織変更と合併を行う順番が、なぜか異なる計画である。将棋や囲碁などゲームの政界では、手順が違えば「妙手は悪手」に変わることが多いが、現実の世界でも同様のことが起こるのだろうか。
 一つ目の例では、早々に組織変更と合併の両方を済ませ、今日の保険市場の激変にも機敏に立ち向かう構えを見せているが、二つ目の例では二つの相互会社を合併したところで全く別の深刻な事案が発生し、その余波を受けたのか計画の後半部分(合併で生まれた相互会社を株式会社化する)は棚上げ状態となっていたようだ。
 ちょうどその頃、私は二つ目の例の関係者(親しい友人)に質問したことがある。「相互会社どうしの合併までは済んだけど、次にこれを株式会社化する段に必要となる契約者(社員)の持ち分評価の計算を考えると大変だろうね。つまり一般的に行われている評価方法なら、合併後も組織変更までの期間は区分経理が必要となるから……それとも持ち分の評価について、一般的な方法以外で衡平を保てるアイディアを持ち合わせているの?」
 いきなり思いもしなかった疑問をぶつけられ、大いに戸惑う相手からは何の反応も得られなかった。親しかったとは言え、随分と不躾な質問であったと反省している。
 このような苦い経緯を思い出させたのは、正月明けに本誌に掲載された記事である。偶然に目についた記事には、同社が相互会社であることの特性を強調した上で、それに相応しい新たな契約者配当を開始する旨の意向が高らかに表明されていたのである。
 そして新たな契約者配当の趣旨や従来からの配当との関係も詳しく説明されていたが、内容が目新しくかつ複雑すぎて、古い時代に育った私にはイマイチ理解できなかった。誠に残念なことである。
 その代わりに生まれた素朴な疑問は、「私は知らなかったが、同社は株式会社化の計画を取りやめたのか?」である。私は、決して取りやめ自体を否定しているわけではない。その反対に相互会社に残留することを素直に歓迎する。しかし取りやめたのなら、真っ先にそのことを述べるべきだと思ったのである。
(客員・岡本)