高齢社会への対応【主張】4月3集(生保版)

高齢社会への対応
 今回の標題は、我が国の特性を表す高齢社会において、一つの対応策を考察するものである。
 2月下旬、厚生労働省は、昨年の人口動態統計(速報)を発表、少子化が一層顕著となっていることが明らかにされた。この傾向が進行していけば、高齢者層の増加と相俟って容易ならざる事態を惹起することから、高齢者が活き活きと社会参画できるような“健康寿命の延伸”が重要な政策課題として掲げられている。
 生保業界では、それに応えた形の商品やサービスを提供してきている。その一つが数年後には数百万人に増大すると推計されている「認知症」に対応した商品である。とりわけ、ここ1~2年以内に発売された商品の中には認知症の前段階といわれるMCI(軽度認知障害)を保障するとともに、いかに罹患しないようにするかというサービス等を併せて提供しており、使い勝手の良い商品として評価されている。
 現在、平均寿命と健康寿命は、10年近い差があるといわれる。この差を埋めるべく生保業界としても前記の商品提供に加え、全国の営業拠点網を駆使し、機会ある毎にセミナー開催などを通じて認知症予防対策を推進している。認知症保険に加入する方々は、誰もが「罹患せずに健康なままで過ごしたい」と願っているが、その思いに応えられるような仕組み作りに業界一丸となって取り組むことが期待される。先頃、生命保険協会より発行された冊子「生命保険契約者のみなさまへ 家族と備える認知症」は、時宜に適った情報提供であり、業界内外のあらゆる機関を通して周知徹底を図ることを望みたい。
 健康寿命の延伸に関わるもう一つの鍵となることが、「寝たきり」といわれる要介護状態の解消である。寝たきりとなるには、様々な要因が考えられる。その一つに挙げられるのが、生活習慣病を見過ごし(放置)することで状態の悪化を招くケースであろう。このような事態にならないよう、平生からのバランスのとれた食生活をはじめとする生活態度が求められることは指摘するまでもない。
 また、「寝たきり」の要因には、先天的な疾患や交通事故等により障害を被ることも挙げられる。これらの患者に対して、当該部分を補助しながら身体機能の改善・向上に繋げる役割を担う「ロボットスーツ」を事業化している取組みがある。
 その一つに、筑波大学の山海嘉之教授が中心となって開発したサイバーダイン社製の装着型サイボーグ「HALR」が、要介護度の改善に効果を発揮しているとされる。生保業界では、大同生命が業務提携を行い介護保障商品と一体となってサービス提供しているが、同業他社としても、介護保障の付加価値を高める観点から、医療・介護分野に特化した「ロボットスーツ」事業に目を向ける時期が到来しているのではないか。  (石原)