健全な競争による事業発展を望む【主張】5月3集(生保版)

健全な競争による事業発展を望む
 新年度を迎え、業界各社は、それぞれの業務計画のもとで事業推進を図っている。今回の標題は、昨年度末にかけて発表された経営計画の中から、考察するものである。
 各社が既に明らかにした経営計画については、その概要部分を本紙で掲載している。各社ともに共通することは、コロナ禍を踏まえて一層進展していく「デジタル化」「消費者のニーズの多様化」への対応であろう。各社の全ての計画について、詳細に見ることは難しいことから、取材を通して感じたことを記してみることとしたい。
 去る3月中旬、日本生命はこの21年度から始まる3ヵ年の「新中期経営計画」につき、記者発表会を開催して内容を報告した。それによると、長期的な環境認識として「少子高齢化・人口減少」「生活環境変化(趣味・嗜好の多様化、デジタル化の急加速)」「社会環境変化(社会保障負担の増大、大災害・地球温暖化)」「お客様ニーズ変化(資産形成ニーズ増加、予防・健康ニーズ増加)」を挙げている。
 これら4つの変化に対応して、具体的な商品・サービスを提供することで、多くの国民に安心を提供することとしている。この点は、業界各社でも同様の観点にたち、新商品開発や各種サービスの提供に努めており、その結果、加入希望者にとって選択肢が広がることで、一層利便性の高い勝手の良いものが評価されることになろう。
 「少子高齢化・人口減少」に対しては、今後、高齢単身世帯が増加することが想定されている。この点について、既に一部の会社では営業職員による見守り活動を通して各自治体との連携を実施しているが、全社が同様の活動を展開してほしい。これにより、未然に事故を防止することが期待される。また、より長生きする高齢者への商品提供を如何に図るかが重要なポイントと言える。
 「生活環境変化」は、携帯電話を幼少時代から自由に使いこなせる若年世代に代表されるが、彼らに対して手軽で加入しやすい保険を如何に開発するかが課題となろう。
 「社会環境変化」に対しては、毎年のように発生する自然災害につき、国内だけで処理できる事案ではないが、地球に住まう一員として、温暖化をくい止める努力が求められる時代になったことを踏まえた活動が肝要とされる。
 「お客様ニーズ変化」に対しては、資産形成ニーズでは低金利環境の中で、どのように魅力あるサービスを提供できるかが評価の分岐点となろう。予防・健康ニーズでは、人生100年時代を迎え、健康寿命の延伸にどのように注力できるか。とりわけ「寝たきり」「認知症」にならない生涯を送れるか、その気付きを提供できるかが、消費者から選ばれる保険会社として位置付けられる。
 コロナ禍にあっても、多様化する顧客の保障ニーズに応えるべく、健全な競争による生保事業の更なる活性化を望みたい。 (石原)