孤独と孤立【主張】7月2集(生保版)

孤独と孤立
 最近、ホテル・旅館を避けキャンプに行くことが人気になっている。さらに、通常のキャンプと一線を画して、一人で出かけるソロキャンプも人気だという。他人に煩わされることもなく、また人に迷惑をかけることもない、究極の孤独に身を置き、孤独を楽しむのである。いわゆる「望んだ孤独」である。
 本年2月日本では、孤独・孤立担当相が新設され坂本哲志氏が任命された。背景には、コロナ禍で孤独に悩む者が増えている問題が、指摘されたことがあげられている。大臣が任命され、「孤独問題」の存在が改めて日本国民の前に突きつけられたのである。ここにある孤独の問題は、ソロキャンプと異なり、「望まない孤独」である。
 日本は、世界で英国に続いて2番目に孤独担当の大臣と担当組織を設置した国であり、世界から注目を浴びている。英国の労働党が立ち上げた「孤独委員会」の報告書では、孤独による英国の経済損失は、約4・9兆円になると試算しており、孤独問題は国家の問題であるとして、英国は2018年に孤独担当大臣を設けている。日本では、孤独に加え「孤立」も名称に加えた孤独・孤立担当大臣になっている点が異なっている。内閣官房には、孤独・孤立対策担当室が設置され、孤独・孤立対策に関する連絡調整会議という協議機関も始動した。協議に先駆けて各方面の支援機関・団体の代表が集合し、「孤独・孤立を防ぎ、不安に寄り添い、つながるための緊急フォーラム」が2月25日に開催された。参加したNPO代表の方々からは、孤独と孤立に苛まれる者たちに対面し、支援に取り組む緊迫感のある意見が語られている。議事内容は、内閣官房のサイトに公開されているので、一読をお勧めする。
 重要なことは、孤独は主観的概念であり、望まない孤独が問題であること、孤立は客観的概念であることを理解し、対策立案実行のためには、孤独、孤立を評価する日本独自の指標が必要であることが語られている。また支援は多様で、公的な支援には限界があるので民間の支援システムが重要なこと、そのためには民間支援団体のネットワーク強化と、団体への支援が重要であることが認識された。さらに、孤独と孤立にある人々にとって最重要なことは、如何に支援のシステムの存在を知ってもらい、システムへのアクセスを確保するかである。
 協議の中で興味を引いたのは、支援のネットワークは地域限定のものであってもよく、逆に地域創生にもつながるというのである。保険業界は、オンラインを利用した募集も模索されてはいるが、全国の拠点で多くの人との面談を基本に事業が成り立ってきた。一朝一夕にはその伝統文化は消失していないはずである。時には困窮者への面談、見守り、情報提供など、できることから支援団体の後方支援を試みてはどうであろうか。
             (客員・佐々木)