成人年齢引き下げと金融リテラシー【主張】7月3集(生保版)

成人年齢引き下げと金融リテラシー
 今回の標題は、2022年4月より実施される18歳への成人年齢の引き下げと、保険を含めた金融リテラシーの向上について考察するものである。
 成人年齢の18歳引き下げは、22年度から施行される。この変更は、選挙権の年齢が20歳から18歳に引き下げられたことなどから、民法上において18歳以上を成人として扱うことになったもので、金融機関との契約行為が可能となる(飲酒や喫煙等は20歳以上のまま)。これを踏まえて金融各業界では、この年代に向け、資産形成や金融知識の向上を図るような活動を展開している。
 生保協会では、同会が設定した「自助の日(5月28日)」から、アニメWEB動画「生きる。」を公開している。戦国時代を背景に主人公が金融リテラシーという武器や防具により自分らしい人生を見つけるストーリーで、ライフプランや健康そして保険の重要性を視聴者に向けて分かりやすく説いている。生死がどうなるか、先の分からぬ戦国の世の設定など斬新な試みであり、多くの世代に訴求していくことを望みたい。
 また、生命保険文化センターでは去る3月、本年4月から実施された中学校新学習指導要領、22年4月から実施される高等学校新学習指導要領を踏まえ、「社会保険」や「生命保険」を取り扱った新たな副教材を作成、提供している。中学校・高等学校の授業において、高齢化、リスク、預貯金と保険の違い、人生100年時代の到来など、若年世代から日々の学業において正確な金融知識を身に付けることは、彼らの今後の人生設計において大いに有益なものとなる筈だ。
 更に、全国の中学生を対象に生命保険をテーマとした作文コンクールは、1963年(昭和38年)以来、今日まで継続して実施されている。中学生にとって、家族にかけられた生命保険契約がどのように役立っているかを実体験として表現することで、社会保障制度との関わりや自身の将来を考察する機会となるからこそ、文部科学省や中学校長会等の後援のもと、毎年優れた作品が寄せられるのであろう。
 一方で、成人年齢引き下げにより、契約に関わるトラブルの被害が増大することが懸念される。国民生活センターが6月に公表した【若者向け注意喚起シリーズ】『情報商材や暗号資産(仮想通貨)のトラブル―「もうかる」はずが、残ったのは借金…―』において、うまい(儲け)話に乗ったばかりに、大金を失った事例が紹介されている。
 現在でも、知識の乏しい若者に対して言葉巧みに借金をさせてまで契約を迫る悪徳業者が存在することを、金融リテラシーの向上を図る中で認識する必要がある。金融に関わる全ての業界が共通認識のもとで、若者世代の健全な育成に注力することを望むところである。              (石原)