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2019.01.16
携帯電話の料金問題 【主張】1月3集(生保版)

携帯電話の料金問題
 昨年の秋に官房長官の菅氏が、「我が国の携帯料金が諸外国に比べ高すぎる」とし「四割程度の値下げを要請する」と発言をしたことを受け、大手各社のトップが揃って値下げの検討を行う意向を示した。利用者の一人である私も、今回の一連の動きを大いに歓迎し、値下げの実現を心待ちにしている。
 ただしながら、保険におけるこの件と同種の諸課題を思い浮かべると、日頃から規制業種における「監督行政の在り方」を思考する者として、次のような視点で問題点が多いように思えて仕方がない。
 一つは、いかに公共性が高い携帯事業とは言え、政府高官が直に民間企業の価格問題に口出しをすることの是非である。もう一つは、何をもって安い高いと評価するのか……評価の尺度の妥当性である。さらには、切り口が全く違うが、相変わらず「デフレ脱却」をとなえるアベノミクスの推進役であるべき者が、公共料金の性格を有する携帯料金の値下げを要請するのは矛盾しないかとの疑問である。これらを含めて、最後には「行政は、どのような視点で民業に関わるべきか」との本質問題に行き当たる。
 豊かな国民生活の実現を第一に考える(べき)政府の経済政策では、先ずは有効需要を作り出すことから始め、次に需要と供給の経済循環を活性化させる環境の醸成こそが、いつの時代においても基本動作となる。その過程で「民間の活力」は欠かせないが、それだけでなく自由闊達な国民の経済行動は経済政策の目的でもある。
 アベノミクスでは、この基本動作を金融緩和、財政出動、成長戦略(構造改革)の三つの要素に分解して、その具体的な手法の方向性を示した。それを「三本の矢」と名付け、前二つの金融緩和と財政出動までは良かったものの、肝心の構造改革については未だに実績が見えてこない。
 前の二つも、単なる一時的なカンフル剤に過ぎず当然に出口は必要とするが……そして肝心の構造改革(私はその中身を「社会の各方面に残る時代遅れの規制の見直し」と捉えている)では、例によって「総論は賛成だが各論は反対」の政治力学が働き、結果は「ちぐはぐ」が目立つだけで一向に前に進まない。
 今日、政府の経済政策には諸々の考え方があるが、いずれも市場の競争原理を軸に据える点では共通する。そして経済の効率化を実現するには、市場行動において民間活力の発揮こそが最も重要であり不可欠であることにも異論はない。
 その民間活力に「新しい芽吹き」や「将来への展望」そして「逞しさ」が見えにくいのはなぜか。原因は何だろうか。いろいろと指摘はあろうが、一口で言えば「政府への信頼が乏しく、その政府からの介入が多すぎる」ことだと思う。そして規制産業の生産性は概して低い。        (客員・岡本)

2019.01.09
【主張】人生100年時代への対応 1月第2集(生保版)

人生100年時代への対応
 周知のとおり5月より新たな元号のもと、新時代がスタートする。新年最初の本欄では、国内の生命保険事業が、様々な課題に対し如何に応えていけるかを考察したい。
 まず、標題に掲げた人生100年時代への対応である。高齢化の進展に伴い、平均寿命と健康寿命の差を如何に縮めるかが国家的な課題となっているが、生保各社としても、100年時代を踏まえた商品・サービスを開発・提供してきている。このうち、トンチン性を高めた年金商品の登場は、契約者にとって長生きするほど利益が得られる形となり、まさに今の時代に則した商品として位置付けられる。販売各社としては、配当金支払いに加え、契約者が活き活きとした高齢期を迎えられるような「気付き」を提供して欲しい。
 また、新商品開発と並行する形で著名な大学等医療機関と提携し、国民病とも称される糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防など、広く啓発活動を展開している会社もみられる。これらの活動は、研究成果が結果的に健康寿命の延伸に深く関わると思われることから、今後もより一層、推進することを期待したい。近い将来、その成果を保障範囲とする新商品の提供によって、生活習慣病の予防や万一罹患した場合でもそれ以上重篤化させないことなどを契約者サービスの一環として、常に発信し続けることが望まれる。
 生保契約の特性を反映して、長期間に及ぶ契約者=高齢顧客が少なからず存在し、その割合は益々増大していくものと想定される。その中には、単独世帯や認知症に罹患する顧客もおり彼らに対する正確なサービス提供が課題の一つとなっている。そのためには、成年後見制度や代理請求等を遅滞なく案内することで、支払(請求)漏れのない体制が求められる。また、地域での営業職員による見守り活動は称賛されるべきものであり、会社の如何に拘わらず全国で展開してもらいたい。
生命保険協会では、数年前、高齢契約者に対する各社のサービスの在り方を取りまとめたものを発表しているが、好事例として特筆すべきサービスに挙げられるものが太陽生命の「かけつけ隊」サービスである。このサービスは、同社が平成28年に「ひまわり認知症治療保険」発売に伴い、請求漏れを防止するために専門知識を有する内務員が直接シニアの顧客や家族を訪問し、支払い手続きをサポートするものとしている。サービス開始以来、短時間で手続き完了する光景を目の当たりにして、多くの顧客(家族)から感謝の声が寄せられているという。
 生保契約は、社会保障制度を補完する手段としての位置付け・確立されているからこそ、多くの国民が加入している。その評価は、保険金・給付金がいかに支払われるかに掛かっているが、高齢顧客が増大する中、「かけつけ隊」サービスは、従来の既契約者訪問とは意味合いを異にする優れた契約者サービスとして、参考とすべき事例であろう。(石原)

2018.12.26
オピニオン ビジネスモデルの変革(1月1集)

オピニオン
 貝賀 滋
 本社・社長

 ビジネスモデルの変革

 2018年は、保険業界の変わり目を象徴する出来事があった。一つは相次いだ大規模自然災害。もう一つは「健康増進型保険」の登場。
 大阪府北部地震、西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震、台風24号と、6~10月に災害が集中したことで、損保各社では、損害調査担当者だけでは間に合わず、他部署の社員を応援に派遣して迅速な支払に力を尽くした。一方で、業者の見積もりが進まず、支払保険金の確定に時間がかかった。損保会社では、現場のオペレーションについて見直していく考えを示しているが、実損?補の考え方についても新たな視点からの再考が必要なのではないか。人海戦術がべースの損害調査。同時多発的に災害が起きることが常態となってきた時代にあって、人だけに頼る損害調査には限界が来ている。こうした状況を踏まえて、ドローンや人工衛星といった機器を取り入れた損害調査へのチャレンジも始まっている。
 「健康増進型保険」は、従来の生命保険にはなかった被保険者が健康に努力すると支払う保険料が減少するといったものだ。健康診断の受診結果やウェアラブル端末やスマートフォンなどを使いウォーキングなどの健康増進運動のデータが保険会社に送られ、その結果が保険料に反映される。死亡保障、生存保障、年金、ガン・医療といったこれまでの生命保険のイメージを一新する商品性がある。健康診断や機器の装着などを被保険者に要求するといった従来にないハードルがあるが、生保会社の画期的なチャレンジだ。生保各社では、それぞれ特色のある商品を開発している。政府が企業を対象に「健康経営」の取り組みを積極的に推進しているが、この流れも「健康増進型保険」にとってはフォローの風になるだろう。
 2019年は、損保の大課題「自動運転」とともに、保険ビジネスモデルの変革となるこの二つの動きに注目したい。

2018.12.18
不可欠な「動的監督」12月4集(生保版)オピニオン

オピニオン
 横尾光輔氏(述)
 金融庁監督局保険課長

 不可欠な「動的監督」

 低金利環境の継続等により収益環境が厳しさを増す中、経済のグローバル化等による内外経済・市場の変動や世界的な自然災害の激甚化、サイバー攻撃による被害等の新たな保険引受リスクの出現等、保険会社を取り巻くリスクの変化が加速し保険会社ではこうした変化に対応したリスク管理態勢等を構築することが重要となっております。
 こうした環境変化を背景に、適切なリスクとリターンのバランスの下、全てのリスクを経営環境と一体で統合的に管理するERMの重要性が高まっています。保険会社においては、ERMの高度化を通じ、将来にわたって保険金を確実に支払えるよう充実した自己資本を保つとともに、保険契約者や株主に対して適切に利益を還元するために高度なリスク管理に支えられたリターンの向上を図ることが求められています。ERMの高度化では、リスク情報をあらゆる角度から分析し、経営層に的確に提供することが重要であり、アクチュアリーに求められる役割、果たすべき責任は今後とも重大です。日本アクチュアリー会は、ERMの国際資格CERA資格者の養成に尽力されていますが、アクチュアリーの職務遂行能力の維持向上に向けて、引き続きご支援をお願いしたい。
 また、保険会社を巡るリスクの所在と形態の変化が加速する中、経済価値ベースの資産・負債評価ベースの資産・負債評価の考え方を取り入れた保険監督の議論が国際的に進展しており、金融庁においても現行のソルベンシー規制では十分に捉えられないリスクも包括的に考慮した健全性を把握する「動的な監督」に取り組むことが不可欠となっております。このため、保険会社のリスク管理の高度化を促しつつ、資産・負債を経済価値ベースで評価する考え方を検査・監督に取り入れていきたい。併せて、経済価値ベースのソルベンシー規制について、現下の経済環境における様々な意図せざる影響にも配慮しつつ、国際資本基準に遅れないタイミングでの導入を念頭に、保険業界の皆様と広範な議論を行いたい。(文責・編集部)
―11月8日の日本アクチュアリー会年次大会から―

2018.12.12
新時代に期待する 12月3集(生保版)主張

新時代に期待する
 「おもてなし」は、英語ではホスピタリティーと訳されるらしいが、日本在住の米国人によるとニュアンスは異なると言う。オリンピック招致と関連して「おもてなし」は、社会的に注目され2013年の流行語大賞にも選ばれている。一方、これと類似して日本人の気質を表現する用語として「忖度」という用語があり、これを訳す適切な英単語はないという。「忖度」という表現も流行語大賞に選ばれたことは、まだ記憶に新しい。しかし「忖度」は、言葉の意味とは裏腹に一部の官僚の他人への配慮のなさ、思慮の欠如で、日本らしさを表わす言葉の本義が揺らいでいる。
 今年は、金融界に目を向ければ、東日本銀行、スルガ銀行を巡る問題、教育機関では東京医科大学の不祥事、メーカーでは、神戸製鋼やKYBのデータ不正、そしてアマチュアスポーツ問題の報道が相次いだ。日本を支えてきた勤勉・誠実・正直という日本人らしさは、風水害の影響とは関係なく崩れ去ろうとしているのではないかと、今年は不安がかき立てられた1年であった。
 さて、もうすぐ平成最後の年末を迎えようとしている。来年は、すでに消費増税による混乱が待ち構えている。明治維新、終戦後、日本人は社会基盤をその都度再建してきた。そして戦後の高度成長から名実ともに社会基盤をリニューアルすることが求められている現在、我々は、どのように社会と向き合い日本を再構築するのか考えなければならない。このような言説も、言い古されてはいるが、昨今の不安な報道を耳にするにつけ考えさせられるのである。
 平成の世の30年間を思い返し、日本史の中で、平成時代は誇れる時代だったのか、甚だ疑問であるが、30年前には想定していなかったような現在が存在することも事実である。歴史の彼方に忘れ去られるような東西冷戦終結も平成3年の出来事であり、現在我々は世界を自由に往来することができている。
来年は、福沢諭吉が民間保険を日本に紹介して152年目にあたり、保険サービスは今や社会の基盤を支える、なくてはならないシステムとして機能している。顧客を置き去りにしたマネーゲームで、業界が信頼を失うことになったバブルの崩壊も、支払い漏れ問題で社会から批判されたのも平成である。その後は、顧客志向のサービス体制を構築し、業界が悪戦苦闘したのも平成という時代であった。来たる新時代が、保険業界にとってどのような時代になるのか不透明ではある。しかし、今後も新元号と共に新しい時代を担い切り開いていける業界であり続けることを期待したい。
煩うことは多いが、来年は新元号が待っている。新たな時代が幕を開けることは事実であり、新天皇陛下の誕生が不安をかき消し、オリンピックを迎える前年の慶事になることを心から願ってやまない。 (客員・佐々木)

2018.11.22
インシュアランス生命保険統計号(平成30年版)発売

生保会社および簡易保険、主要共済の平成29年度決算に基づく
契約業績、収支状況、資産状況等を収録したわが国唯一の生保・共済
決算特集号です。

2018.06.25
健康応援型保険商品 「リンククロスじぶんと家族のお守り」発売

【オピニオン】6月3集(生保版)

 当社は、生命保険のその先、お客さまに一生涯寄り添う「健康応援企業」への変革を目指し、健康サービスブランド「リンククロス」を立ち上げ、当社ご契約者のみならず広く一般消費者の皆さまに、さまざまな健康サービスをご提供しています。
 「リンククロスじぶんと家族のお守り」は、保険本来の機能(Insurance)に、健康を応援する機能(Healthcare)を組み合わせ、従来にない新たな価値「Insurhealth(インシュアヘルス)」の提供を目指す、「健康応援企業」への変革を具現化する商品です。
 おかげさまで多くのお客さまから高い評価をいただき、今年4月の発売開始以来、1ヶ月で1万件を突破しました。
 収入保障保険「リンククロス じぶんと家族のお守り」は、契約日からその日を含めて2年以上5年以内に健康状態が改善すると、以降の保険料を引き下げるとともに、契約日に遡って保険料差額相当額をお支払いする「健康☆チャレンジ!」制度を組み込んだ全く新しい健康応援型保険商品です。
 保険加入に至るまでの購買プロセスは、社会経済情勢の変化に伴い根本的に変わってくることも考えられます。
 万が一のときだけでなく、健康で幸せな人生を送る先に保険商品がある、健康に関する様々なお勧めと共に保障コンサルティングを受けることができる、ライフイベントだけではなく、もっと身近な生活環境から感じるニーズに対して、主体的に選択することができる、そのような健康応援型商品を今後も開発、提供していきます。
 デジタル技術の発展により人々の行動、生活、価値観がめまぐるしく変化していく時代。価値変化に応じてビジネスモデルも変化させ、お客さまが真に求める付加価値を提供し続けることのできる健康応援企業になることを目指してまいります。

2018.06.07
生活習慣病をサポートする新商品を発売

神山 亮弘 氏(談)
(日本生命商品開発部商品開発G 商品開発課長)

 日本生命は今年度より、生活習慣病の予防から治療までを支援する新商品・新サービスを提供・開発しております。
 近年、健康増進に高い関心が寄せられておりますが、“国民病”とも言われる糖尿病等の生活習慣病患者は引き続き増加傾向にあり、社会課題と考えられています。
 当社は、〔Ⅰ〕生活習慣病等に備える新商品「ニッセイみらいのカタチ 特定重度疾病保障保険“だい杖ぶ”」の発売(4月2日発売)、〔Ⅱ〕生活習慣病予防に向けた新サービスの提供(4月1日提供開始)、〔Ⅲ〕糖尿病予備群向けの重症化予防プログラムの開発(18年上期よりトライアル開始)により、生活習慣病を包括的にサポートし、お客様の健康寿命の延伸を応援してまいります。
 “だい杖ぶ”は、6つの生活習慣病および臓器移植を保障します。また、複数の生活習慣病等を併発するリスクに備え、各特定重度疾病ごとにそれぞれ1回一時金をお支払い致します。
 生活習慣病の予防に向けた新サービスの提供は運動習慣を支えるインセンティブプログラムを導入し、お客様の健康的な生活習慣をサポート致します。また、生活習慣病に関する悩みを専門家に相談できる新サービスを導入します。
 糖尿病予備群向けの重症化予防プログラムの開発は、第一弾としてパートナー企業の協力を得て今年度上期から日生病院でトライアルを開始し、他の地域・企業でのパイロット展開を目指します。また、大阪大学等と共同研究を実施し、保険商品や各種サービスへの活力を検討してまいります。
 “だい杖ぶ”は発売以来、多くのお客様から関心を寄せていただいており、発売から1カ月で販売件数は5万件を突破しております。当社は、今後もお客様の様々なニーズにお応えし、一生涯をサポートしてまいります。 
 (文責・記者)

2018.05.24
高齢化の中での事業推進

【主張】5月4集(生保版)

 平成30年度に入り、各社とも新たな年度計画のもと、その達成に向けた施策を展開しているところである。
 生保業界を取り巻く事業環境として踏まえておかねばならないことは、少子・高齢化の進展であろう。このような状況において、活力ある経済社会を維持・発展させるために、政府としても様々な政策を打ち出している。その一つに掲げられるものが「健康寿命の延伸」である。現在、男女とも世界有数の長寿国となっている我が国において、健康寿命を延伸することで、膨張の一途を辿る国民医療費の抑制を図ろうとするものだ。
 これを受け、生保業界では新商品・サービスの開発が行われ、契約者の健康増進活動により保険料を引き下げる健康増進(応援)型保険が発売されてきている。ネオファースト生命の「カラダ革命」「からだプラス」「ネオdeエール」、東京海上日動あんしん生命の「あるく保険」、今春からは第一生命の「ぴったりが見つかる保険ジャスト」、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「リンククロス自分と家族のお守り」などが挙げられる。
 さらに、今後、明らかにされる住友生命の「Vitality」と明治安田生命で来年度発売予定の新商品などを通じて、契約者一人ひとりの健康に対する意識を向上させる効果をもたらすこととなる。
 また、現在健康寿命の延伸にとって大きな障害となっている疾患として挙げられるのが生活習慣病であり、急速に有病者が増大し続けている認知症である。前者では日本生命の「ニッセイみらいのカタチ特定重度疾病保障保険”だい杖ぶ”」及び前記の第一生命「ジャスト」、また朝日生命では東京大学との共同研究をスタートさせている。後者では認知症保険の地平を開いた太陽生命の「ひまわり認知症治療保険」と朝日生命の「あんしん介護認知症保険」、今春発売された三井住友海上あいおい生命の「&LIFE新医療保険Aプレミア」「終身介護・認知症プラン」がある。この他、数社において要介護度に応じた介護保険を発売し、介護保障ニーズに応えてきている。
 なお、商品提供だけでなく、認知症の予防をサポートするサービスとして、太陽生命では「認知症アプリ」、日本生命では「認知症対策スキル」を提供、さらにフコクしんらい生命は公文教育研究会と提携した啓発セミナーを開催する。軽度認知障害状態であっても、予防運動(コグニサイズ)等によって重篤化しないケースがあると言われており、これらの利用により、認知症の未然防止が期待される。
 各社が発表するリリース等で、「人生100年時代」と形容されることが多くなっている。男女ともに平均寿命が80歳を超える現在、長寿が喜ばしいと認識されるのは、生涯現役として活動することではないか。今後、更に平均寿命が延びた場合、同時に健康寿命も延伸することが求められてくる。生保業界の果たす使命は、一層、重要なものとなろう。(石原)

2018.05.17
保険は助け合いか

【主張】5月3集(生保版)

 この問題について、保険学界では近年採り上げる研究者もあまり見かけなくなってきた。だが、保険会社のウェブ・サイトを見ると、ほとんどの会社は、依然として保険が助け合いであるという趣旨のことを載せている。
 保険が助け合いであることの理論的な根拠は、危険団体の存在にある。危険団体の中で、各保険契約者が保険料を拠出し、それによって共通準備財産が形成され、そこから保険金が支払われるという状況が、助け合いのように見えるということである。
 危険団体は、概ね次の4点を充たすものである。①大数の法則が成立するように危険を共通にする者が多数集まって形成する、②構成員は、給付反対給付均等の原則に基づく保険料を拠出し、共通準備財産を形成する、③構成員に偶然な一定の事故または危険が発生した場合、保険金が給付される、④団体内部では収支相等の原則の成立が必要である。
 ところが、少額短期保険の存在などからも判るとおり、大数の法則は、絶対的なものではない。給付反対給付均等の原則も収支相等の原則も、現価概念が含まれていないなどの理由から用いることはできない。実際に使われているのは、現価概念を加味した収支相等の原則だけである。つまり、純粋な意味での危険団体は、まったく保険会社の中には存在していない。
 さらに、実際には、こうした現価概念を加味した収支相等の原則を用いただけでは、問題の生ずる場合がありうる。たとえば、巨大地震が起こった場合や逆ざやが実現した場合である。この場合、不足分をソルベンシー・マージンで補てんする。このように、ソルベンシー・マージン、ことに資本金などの外部資金で補てんするのは、助け合いどころか、会社がリスクプレミアムを契約者から一切もらわずに保障していることになる。このような実状も説明せずに、助け合いだというなんて、人がいいにもほどがある。
 また、保険は助け合いである、言い換えれば危険団体に基づいて引き受けられていると考えると、実際の保険会社には、いくつもの矛盾点が生ずる。たとえば、危険団体では保険会社の存在やその必要性を説明できない。このことは、保険会社の自己否定でしかない。自虐的な表現ともいえる。
 大体、助けるという言葉は、人が主語である限り、その人が助けるという意思を持って行うことを表す。危険団体の説明のように、結果的に助けたことになるという意味はない。日本語の使い方として間違っている。
 このように、保険は助け合いだとすることは、理論的には完全に否定される。このため、消費者に対してミス・リーディングであり、保険会社の自己否定にもつながるものであるので、もういい加減に止めてはどうか。

(客員・宇野典明〔中央大学商学部教授〕)
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