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2019.03.25
健康寿命延伸と世代交代【主張】3月4集(生保版)

健康寿命延伸と世代交代
 NHK番組「老後破産、長寿という悪夢」が2014年に放映され、長生きが社会問題化している。人類が望んできた長寿が、生きるためのリスクになるとは、誰が予想できたのであろうか。国は、問題解決策として健康寿命の延伸と生涯現役社会を掲げ、「Productive Agingの実現」を目指している。
 一方、寿命や老化は、社会学的にも生物学的な面でも関心が高く古くから研究者が取り組んできた。ヒトは、加齢と並行して老化が進み、若い時期に生殖能力が高く、生殖年齢が終っても、長期間生存する特徴がある。このような特徴は生物種で大きく異なっている。
 ゲノム科学の進展は、この分野にも新しい多くの知見をもたらしている。サーチュイン遺伝子や細胞老化などの研究は大きな成果をあげ、今後期待される研究領域である。中でも重要な成果としては、寿命を延伸することは、老化病を克服することと強く関係しているのが分かったことである。逆に老化病を克服すれば健康寿命の延伸につながるので、結局老化病の対策は、健康寿命と生存寿命の両者の延伸をもたらすのである。できるだけ、労働生産に係わる期間を伸ばし、生涯現役社会の実現と、介護の手間や医療費負担が発生する期間が短縮し、人が「ピンピンころり」で終末を迎える社会の実現は、国と国民が一致して望む点である。
 さて、健康寿命や生存寿命の延伸と共に、はたしてヒトが生きられる上限の限界寿命が、延伸するのかは分かっていない。限界寿命が延伸すれば、保険制度の根幹に関係する。2016年科学雑誌Natureに、生物には限界寿命があり、種特異的に固定されているという内容が報告された(ゲノム科学の進展は報告に含まれていない)。ヒトでは115歳前後に限界寿命が固定されている報告である。どのように健康寿命を延伸させても人は老化の結果、死を迎えるのである。すなわち老化は、ヒトの生命機構にシステム的に組み込まれ進化してきたのである。
 しかし、個体の生存にとって不利な老化機構の存在は、これまでの進化論とは対立する。最近の研究では、老化は個体の生存より集団の継続にとって重要であり、集団の世代交代に必要な機構であるという。また、個体の利己的な生存を調節し、集団の存在に危機が及ばないようにしているのである(集英社、ミッテルドルフの著書参照)。では、国民集団からすると国策の評価はどうであろうか。
 直面する社会的課題の克服に、健康寿命延伸と生涯現役社会実現の目標は妥当だが、一部の集団にだけ効果が集中しない制度設計を忘れてはならない。また世代交代が円滑かつ効率的に進む仕組みが、同時に担保されていなければならない。企業における定年延長と役職交代のセットに限らず、社会全体の世代交代を円滑に進ませる仕組みを検討することも、生物の進化論からは必要なのであろう。   (客員・佐々木)

2019.03.19
顧客本位の業務運営とKPIの活用【主張】3月3集(生保版)

主張
 顧客本位の業務運営とKPIの活用

 金融庁は、「顧客本位の業務運営に関する原則」の公表後、この原則に基づく業務実施の定着度合いを客観的に評価する成果指標(KPI)を採用し、発表している金融事業者名を公表している。同庁は、この指標の公表を通じて、顧客本位で運営する業務の定着度に関し、「見える化」が進む、と期待しているからである。
 調査結果によると、昨年9月末までに本運営原則の実行を採択し、取組方針を公表した約1500社の金融事業者のうち、約400社が自主的なKPIを、約30社が共通KPI(金融事業者間で比較可能なKPI)を公表しており、その多くがこれらの数値を時系列で表示している。本運営による業務遂行を実施する事業者は今後増加すると予想される。
 金融事業者のうち、保険会社・代理店をみると、取組方針を公表した会社は約250社、KPI公表会社は約70社。この中で、例えば大手生保A社は、「お客様満足度」を把握し、その中長期的推移を発表することで、経営改善効果を測定する方針を提示している。
 金融庁は、金融事業者が顧客本位に業務を行う場合の取組手法を、一般の顧客にもわかりやすいよう、具体的で、かつ、KPIと明確に結びつける方針とすることを、強く期待している。しかし、銀行が公表しているKPIの場合、提供しているサービスや商品に係わる事項が多い一方、「利益相反管理」や「手数料等の明確化」、「業績評価体系」等に関する事項は少ないのが実情のようである。
 これに伴い、金融庁としては、金融事業者が現時点では不十分なKPI活用状況を改善し、自社が提供する商品のコストや顧客へのリターンを明確に把握・提示する態勢を構築するよう望んでおり、「適切なKPIの設定とその活用」は、金融業界における今後の重要課題になっていくと思われる。
 金融・保険業界においては、業務に関係するあらゆる要素がデジタル情報化する「デジタライゼーション」の加速、人口減少・高齢化の進展、低金利環境の長期化といった著しい環境変化が生じており、これに対応する金融行政の変化が必須となっている。例えば家計における安定的な資産形成、企業における持続的成長を通じた「国民の厚生の増大」をはかることが不可欠となった結果、金融庁は、いわば「金融育成庁」に変身して、その路線を強力に推進する方針を明確にしつつある。
 従って、保険業務の実施責任者は①貯蓄性商品(特に外貨建保険商品)の販売時における顧客への適切な情報提供、②自然災害等にかかる保険引受手法や資産運用の管理態勢の高度化、③持続可能なビジネスモデルの構築、④経営全般にわたるガバナンス機能の充実、等を求められており、KPIを活用した経営施策を長期的に展開していくことが必要だと認識されている。今後「KPIの活用による経営全般の見える化推進」が、保険会社・代理店の重要施策になってくることを常に意識し、経営にあたることが望まれる。(客員・石橋)

2019.03.12
契約者サービスの提供【主張】3月2集(生保版)

契約者サービスの提供
 標題は、人生100年時代と言われる状況下において、従来までの主契約・特約等による保障だけでなく、それに伴う関連サービスなどを含め、いかに付加価値を提供できるかが消費者の判断基準になり得ることから、掲げたものである。
 生保各社が発売する医療保障商品を例にすると、入院・手術等の給付金だけでなく、医師の紹介など相談対応を組み込んだサービス提供などを充実してきており、契約者にとって、いざという時に使い勝手の良い商品となっている。今後も創意工夫を発揮し、本来の保障内容とともに、契約者サービスで他社との差別化を図ることが消費者から選択される重要な鍵になろう。その意味で、契約者向けのサービスは決して疎かにできないものであり、ここでは、昨年末までに発表された特筆すべき3社のサービスについて考察する。
 1点目は、第一生命が昨年12月に発売したかんたん告知『認知症保険』のサービスである。商品の詳細は既に紹介されているため避けるが、認知症の予防・早期発見を踏まえたサービスや被保険者・家族の心のケアを含めたサービスは、高齢者人口の増加とりわけ高齢単身世帯を持つ家族にとって、安否確認に繋がるものであり、時宜に適ったサービスと言える。同社が提唱する、従来のプロテクション(保障)だけでなくプリベンション(予防・早期発見)までをカバーすることにより、健康寿命の延伸をもたらすものとなろう。
 2点目は、エヌエヌ生命が昨年12月20日に発表した『経営者死亡後の後継者支援サービス』である。“中小企業サポーター”を標榜する同社は、かねてより中小企業経営者向けの商品を提供し続け評価を得てきているが、今回のサービスは、その実績を踏まえた上で経営者の急逝により事業を引き継いだ後継者への的確な支援を行うものだ。事業が頓挫することなく継承・発展するような専門家によるアドバイスは、これも正鵠を射たサービスと言える。大企業に比べ、様々な面で足りない分野を抱える中小企業に対し、今回のサービス提供によって、当該企業が更に成長していく下支えとなることを期待したい。
 3点目は、日本生命がこの4月から提供することを明らかにした契約者向けシニアサービス『GranAge Star』である。このサービスは、専門的ノウハウを有するNPO法人が提供する「身元引受保証」「日常の生活支援」「任意後見」「葬儀や納骨等の亡くなった後の対応」に、「暮らしのサポートデスク」を付加した有償サービスとしている。今回のサービス提供は、高齢者に関わる諸課題の有力なソリューションの一つになるものと思われる。高齢層の増加が不可避な状況にある中で、保有契約者数の最も多い同社において、シニア契約者へのサービスが一層充実することは業界他社に及ぼす影響も少なくない。今後、サービス内容がどのように進展していくか注目していきたい。        (石原)

2019.03.05
「節税保険見直し」につき考える【主張】3月1集(生保版)

「節税保険見直し」につき考える

 二月の中旬のことである。新聞各紙に一斉に「節税保険販売停止が拡大」という趣旨の記事が掲載された。
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 主に中小企業経営者向けに節税効果がPRされ、販売が過熱した死亡定期保険について販売停止の動きが生命保険業界全体に拡がっている。こうした「節税保険」について国税庁は一三日、節税メリットを薄くする方針を各社に示し、日本生命など生保大手四社が販売停止。他の生保にも同様の動きが広がっている。ただ貴重な収益源とあって、今なお対応が未定の会社もある。
──二〇一九年二月一六日付、朝日新聞より
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 それにしても素早い対応ではある。まるで悪さをしたのが見つかったので、慌てて店仕舞いをするような感じの撤退風景である。
 国税庁が生保各社に対し、「節税メリットを薄くする」と通告するや、いわゆる「節税保険」を扱う主な生保一七社のうち、一三社が既に販売を停止したか、月内にも停止する予定であるというのだから、逃げ足が速いといわれても仕方があるまい。
 経営者向けのこの保険は、あくまで生命保険であるので、経営者の不慮の死亡時に、数億円という高額の保険金が受け取れるという商品である。とくに中小企業の場合、経営成果は、経営者の手腕に負うことが多いので、不慮の突然死への企業としての備えとして意義がある。
 しかし、月数十万円の保険料を全額経費扱いにできるため、利益を大幅に圧縮して節税できる。一定期間を経て中途解約すれば、支払済み保険料の大半が払い戻されるので、それを役員の退職金などに充てれば、その分も非課税になる。折からの好景気で黒字が増えた中小企業の節税に寄与するぴったりの保険として、人気を博して当然である。業界最大手が販売を開始するや、他の大手生保も一斉に追随した。
 国税庁が示した今回の見直し案は、返戻金が支払い済み保険料に対して五〇%を超える商品は、経費に算入できる範囲を制限するというものである。これに対し、招集された協会加盟四一社の担当者は一様に押し黙り、国税庁職員が「質問があれば何でも答える」と呼びかけたものの、質問する者は誰もいなかったという。
 「きれいごと」といわれるのを承知のうえであえていうと、生命保険の存在理由は、あくまで、不慮の死亡保障にある。とくに急成長の中小企業にとって、経営者の突然の死は大きなリスクになる。その保障がいかに大切であるか、生保関係者であれば誰でもわかることであり、営業では、それを堂々とお客に説ける営業職員教育の強化が必要であると考える。節税などは、二次的、三次的な付加的メリットに過ぎない。

2019.02.26
コンセッション方式-『水道方式入門』【主張】2月4集(生保版)

コンセッション方式―『水道方式入門』
―水道方式は、主として小学校における計算練習の方式である。それは子どもたちができるだけ少ない練習量で、できるだけ確実で、
永続的な計算力を身につけるように工夫されたものである(遠山啓・銀林浩編『新版水道方式入門』)
 一九六〇年代、数学者・遠山啓は小学生が算数に苦労する原因として「数の概念」を明治以来の「数え主義」により教えることに気付き「集合算」による四則演算を推奨した。この教育方法を「水道方式」と名付けた。
 水道の民営化・広域化を目的とする「水道法改正」について考えよう。水に恵まれている我が国だが、現在まで水資源開発に採算を考えず公的資金が投入してきたことによる。
 「人口減少に伴う水道料金収入の減収、水道施設の老朽化」に直面する自治体は財政面で厳しい局面を迎えている。
 その打開策として昨年国会で成立したのが「改正水道法」である。中身のひとつが「コンセッション(公共施設など運営権)方式」である。水道施設の所有権は自治体が保持したまま、運営権(つまり経営権)を民間事業者に売却できるとする。また自治体ごとに区分けしていた水道事業を広い地域で一体運営して不採算地域と採算地域を一体化することにより、大規模な事業運営ができるとして請け負った民間事業者は利益を生み出し易くなるという。
 改正案に基づくと水道料金値上げが必至であるが、運営権は民間企業に移るため地方議会の承認は不要である。また貧困による料金未納者には自治体が「日本国憲法第二十五条」に基づく条例により料金を免除するなど方策を施しているが、今後は営利事業である民間企業は聞く耳を持たないだろう。さらに海外では水道の民営化が広がる一方、水道料金の高騰や水質が悪化する問題が相次ぎ、近年は公営に戻す動き(再公営)が加速している。
 経済主体の自己利益追求が社会にとって良い結果をもたらすという前提が、ミクロ経済学の「契約理論」を発達させてきた。しかし公共事業においては当事者間の契約が不可能であるし、利用者は仕事を信頼により事業者に任せざるを得ない。ここでは自己利益を前提とする契約理論は成り立たない(岩井克人)
 混迷する金融市場における利用者と金融機関の取引に対して金融庁は「金融検査・監督の考え方と進め方」を提示している。
―競争原理がはたしてすべての時代を超えて
未來永劫にわたる人間の原理であったか、また、あるべきかどうかはすこぶる疑わしい
(遠山啓『教育思想としての競争原理』)
 遠山は七〇年代の教育全般への競争原理の導入に批判を強めながら、数学教育においては運動の力点を「たのしさ」へと移して行く。
遠山による算数の副読本、復刻版『さんすうだいすき(全十巻)』は今でも多くの読者を得ているようだ。        (客員・林)

2019.02.19
企業の新卒採用に関して【主張】2月3集(生保版)

企業の新卒採用に関して
 昨年秋、経団連は、「採用選考に関する指針」を廃止することを表明した。もともと、この指針は、経団連の会員企業に対して出されたものであるため、会員外の企業は、実際には相当早くから採用活動を行っていたし、会員企業であっても、選考という表現を使わないことによって、実質的な採用活動を指針より早く行っていた。
 採用を担当したことのある者としては、採用担当者の気持ちはよく解る。端的に言えば、競合企業が自社よりも先んじて採用活動を始めてしまったら、すぐにでも追随したくなる。現在のような売り手市場であればなおさらだ。このため、これまでのような指針があろうとなかろうと、採用のスケジュールは、毎年前倒しされていくことになる。そして、あまり極端に早まると、社会的な批判が高まり、是正のための力が働き、遅くなる。これまでの企業の採用を振り返ると、こうしたことの繰返しでしかない。
 今回は、政府が経団連の指針に変わるものを作ると報道されているが、経団連の会員企業以外も対象とされるので、これまでよりもルールを守る企業は増えるかもしれない。しかし、強制力を持った形では作れないので、守らない企業も出てこよう。
 このように考えると、今回の指針の廃止に伴う学生への影響は、多少の混乱は予想されるものの、それほど大きいとは思えない。あまり昨年とスケジュール上の変化をもたらしてほしくないだけだ。
 採用に関しては、学生の立場から見てこの指針以上に問題なことがある。第一は面接技法の問題だ。面接で最も難しいのは、学生の第一印象に左右されずに、必要な能力を有しているかを判断することだ、そのためには、適切な技術とその経験が必要である。しかし、応援に駆り出された社員はもちろんのこと、採用担当であっても、そのほとんどはそうした技術と経験を持っていない。このため、採用ミスは、不可避だ。このことは、学生からすると大きな問題だし、学生と企業のミスマッチの原因になっているとも考えられる。
 第二に、どのような人材が求められるのかということについて、社内の意思を統一してほしい。たとえば、経団連の中西会長は、大学での勉強を相当重視する旨の発言を繰り返ししているが、日立製作所の採用担当者は、ウェブサイトを見るかぎり決してそうは考えていないようだ。こうしたことは、学生たちに混乱をもたらすものでしかない。是非とも統一してほしい。そして一旦決めたら、しばらくはそれを変えないでほしい。また、どのような人材を求めているのかについて、具体的に示すとともに、実際にそのとおりの採用をしてほしい。
 これらのことについて改善ができれば、就職=採用活動は、より適切に行われよう。
(客員・宇野典明〔中央大学商学部教授〕)

2019.02.12
少子高齢社会は素晴らしい?【主張】2月2週(生保版)

少子高齢社会は素晴らしい?
 狭い国土に膨大な人口を抱えた我が国では、明治以降の人口政策の発想の基本は、富国強兵を目指すための兵隊は必要であるが、新大陸(北米や南米)や外地(満州や朝鮮、台湾)への移民などによる「口減らし」と同義であった。
 特に敗戦により縮小した本土に多数の引揚者や新生児が加わって人々が溢れかえった頃は、国主導の産児制限の運動さえ行われた。つい半世紀前までの状況である。
 それが今では真逆の方向である少子高齢が進み、総人口までも減少に転じる状況となった。年金や医療・介護などの社会保障の運営に始まり労働人口の不足など、社会のあらゆる面で少子高齢に伴う難問が生じている。
 ついには人間だけでなく、橋やトンネルさらには上下水道などの社会インフラまでも老朽化が進み、それらの維持管理や改修などの費用がかさみ……毎日のように各方面から悲鳴が聞こえてくる。
 これら今日直面する難問について、小生も同じような危機感を抱くものの、同時に次のような基本的な事柄に関わる疑義もぬぐい切れない。
 人口統計は、産業経済から厚生労働、安全保障など、あらゆる国政の検討において基本的かつ最重要な判断要素である。そして今日の状況に至る道筋は、すでにベビーブームで人口急増の時代から兆しが見えていたし、その後の経済成長期になると今日の状況は確実に描けていたはずである。それなのに、なぜ今頃になって大騒ぎしているのか。
 社会や時代の変化に伴い、政策の検討における尺度は適切に取り換えるべきであるが、未だに生産年齢人口は15歳から65歳とされ、最近まで経済指標ではGNPが幅を利かせていた。これがGDPに代わっても、共にモノの生産を念頭に置いたものであることに変わりはなく、今日の社会における人々の生活や価値観の実態を思うと大いに疑問である。
 我が国では道路事情が特に悪く、米国のハイウェーやドイツのアウトバーンをうらやむ時代が長かったが、今では道路網の整備も相当進んでいる。道路に限らず、社会インフラの維持管理や改修も大変だろうが、建設用地の買収から始めなければならない新設を考えると、その負担の大きさは比べ物にはならない。
 同じように個人ベースで考えても、少子高齢社会では上の世代の年金や介護の負担は重いのだが、他方では相続により上の代から引き継ぐものも大きい。
 つまり「モノは考えよう」であり、視点を変えれば違った風景が見えてくる。それでも「少子高齢社会は素晴らしい」は少し言い過ぎだろうか。       (客員・岡本)

2019.02.04
第三分野商品のスタンダード化はどうなった【主張】2月1集(生保版)

第三分野商品のスタンダード化はどうなった
 1月11日の毎日新聞投書欄で「保険批判への反論も載せて」という保険関係者による投書を見つけた。ビジネス誌による生命保険特集に掲載されている保険コンサルタントや評論家による商品評価の内容が、保険数理のプロから見て、あまりに的外れで独断的な批判ばかりなので、せめて保険会社の言い分も載せるべきという内容だった。
 ビジネス誌の保険特集では、商品評価やランキングが目玉記事の一つとなっている。保険ジャーナリストやFPに対し、積極的に情報提供を行う保険会社も増えており、保険会社の言い分が全く反映されていないわけではなさそうだが、保険数理のプロが嘆くのだから、こうしたインプットにもかかわらず、偏った記事の掲載が横行しているのだろう。
 保険への理解の低い評者にはもっと勉強していただくしかないし、一方的なコメントばかり載せるのもどうかと思う。ただ、もし私自身が商品評価をしろと言われたら、おそらく困ってしまうだろう。なぜなら、平成の30年間で第三分野を中心に商品や料率の多様化が進んだ一方で、保障と料率の関係が外部からほとんどわからないためである。
 各社のサイトには商品パンフレットのほか、「契約概要」「注意喚起情報」が載っているので、比較サイトに頼らずとも保障内容を比べることはできる。だが、保険料の絶対水準ではなく、同じ保障に対して商品Aの保険料が商品Bよりも高い/安いといった、他の金融サービスでは普通に行われている分析が保険商品では非常に難しい。
 それでも死亡保障だけであれば、最近の健康増進型を除き、ある程度納得できる比較が可能かもしれない。保障内容のバリエーションが限られているうえ、標準生命表が存在し、各社とも表から大幅にかい離したプライシングを行っていないと考えられるためである。これに対し、第三分野には標準発生率や参考純率等がなく、金融庁による商品認可を経ているとはいえ、各社が使っている発生率も、プライシングの保守性の程度もばらついていて、かつ、外部の評者が分析する手掛かりも乏しい。通常の財・サービスであれば問題ないかもしれないが、社会保障の補完的な役割を果たすことが期待されている保険商品において、保障と料率の関係がここまでブラックボックス化したままでいいのだろうか。
 実は15年近く前に、金融庁の検討チームで第三分野の責任準備金積立ルールや事後検証ルール等を議論したことがある。05年6月に公表された報告書を読むと、今後の課題として「データの整備」「標準発生率・参考純率等の整備」が挙がり、第三分野商品のコアになる部分のスタンダード化に向けて、「当面はまずデータ整備に注力し、将来的課題として、標準発生率や参考純率等の適否を検討していくべきではないか」という提言が示されている。しかし、何年たってもデータ整備に向けた動きは見られない。果たしてこのまま放置していいのだろうか。 (客員・植村)

2019.01.24
”技術を支える金融事業 【主張】1月4集(生保版)

“技術”を支える金融事業
 標題の意味は、昨年来、世界に誇るべき我が国の技術分野で、さまざまな製品擬装が発覚、先人達により築きあげられてきた“日本ブランド”が失墜するのではないかと思われた時、世の中に役立つ物作りへの情熱が活き活きと描かれたTVドラマ『下町ロケット』を視聴して以来、これこそが企業規模を問わず産業界が共有すべき資質であり、そのような企業を経済的に支える金融事業でなければならないと感じたからである。
 昨秋から年始にかけて放映されたこのドラマ(TBS・日曜劇場枠、午後9時)は、数々の困難が立ちはだかっても従業員や協力者の支援を得ながら乗り越えていく経営者の姿が映し出され、世界的大企業が打ち上げるロケットに不可欠なシステムを納入する技術力を誇りとする中小企業が舞台となる。模倣ではない独自の技術開発にこだわり、そこに織りなすさまざまな人間模様に、多くの共感の声が寄せられたと言われる。
 周知のとおり、大手生保をはじめ伝統的な生保会社は、従前より我が国経済の幅広い産業界の株主として、各企業を下支えする存在である。近年は、物言う株主としての立場を鮮明にして、事業計画や決算等において対話・意見表明を積極的に行っている状況が生保協会発行のレポートや個別会社の決算資料において明らかにされている。
 意見表明や対話の推進は、株主としての当然の権利であるが、そこには当該企業に対し健全な事業体として継続的に発展する期待が込められているからであり、その思いを根底に今後も大いに発言してもらいたいところだ。その結果として、株主配当への還元に繋がることを望むものである。
 一方で、昨今、残念な報道を目にすることがある。それは、他には真似のできない、唯一無二の優秀な技術を持ちながらも後継者がいないために、倒産・廃業のやむなきに至る中小・零細企業のケースである。我が国の産業構造において、9割以上が中小企業と言われるが、それらの秀でた技術を継承されることなく消失してしまうことになれば、一企業だけの枠を超えて、経済全体にとっても大きな損失となりうるのではないか。
 多くの中小企業を取引先(市場)として持つ生保会社としては、企業間の連携・提携を促す場を提供するビジネスマッチングは有益なものとなろう。これにより、単独企業では存続が難しい場合でも提携等で人材確保を図ることが可能となれば、技術力を活かす新たな途を見出せることになる。
 日本生命では、既に同様のビジネスマッチングを開催し、それぞれの開催地では大盛況であったという。同社に限らず、中小企業が健全に成長できる支援を積極的に展開する生保業界であることを期待したい。 (石原)

2019.01.22
平成30年版 損害保険統計号発売

損害保険各社の決算に基づく契約・収支・資産状況を掲載した損害保険事業統計の決定版。
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