Home > 新着情報

新着情報

RSS

前のページへ

2018.02.22
ジャストインケースの挑戦

【主張】2月4集(生保版)

 保険とテクノロジーの融合である「インシュアテック」という言葉は、日本の保険業界でも広く知られるようになった。
 ところが、日本のインシュアテックは海外より数年遅れているという識者の声をしばしば耳にする。確かに「A社が健康増進活動の成果を保険料等に反映する新しい商品を開発」「大手損保グループB社が米シリコンバレーに拠点を置き、インシュアテックを推進」など、大手保険グループによる取り組みが活発化する一方、「トロブ」「レモネード」といったスタートアップ企業が次々に台頭する海外に比べると、既存の保険ビジネスに破壊的創造をもたらす存在となるスタートアップの動きは目立たない。
 そのようななかで、少額短期保険の枠組みを活用したインシュアテックサービスの提供を目指すスタートアップ企業が現れた。
 ジャストインケース(justInCase)社はアクチュアリーやデータサイエンティストなど専門技術を持つメンバーが立ち上げた会社で、ウェブサイトをのぞくと、「アプリで必要な補償を必要なときに気軽に選べる世界の実現を目指します」「よりオープンな新しい保険の仕組みのもとに、気軽に安心を得られる未来を作ります」などとある。
 第1弾の「スマホ保険」はスマートフォンの画面割れ・水没・破損等の修理費用を補償するもの。AIを活用して事務処理を自動化するほか、スマホ利用の安全度合いをAIが判定して更新時の保険料に反映したり、友達プール機能により不正請求を防いだりと、詳細は不明だが、随所に最新技術を取り入れ保険料の最適化を実現するそうだ(2月1日現在、少額短期保険業者の登録準備中)。
 スマホ修理費用の補償としては、アップルケアや携帯会社が提供するサービスのほか、「モバイル保険」を販売する少額短期保険会社が登場しているとはいえ、大手が参入していないニッチ分野と言える。
 保険としてだけとらえると、果たして数万円単位の損失に毎月保険料を支払って備える必要性があるのかという見方もできる。しかし、インシュアテックによってスマホユーザーに新たな価値を提供できるかもしれないし、そもそも同社がスマホ保険の専門会社としての成長を目指しているとは考えにくく、ニッチ分野で培った経験をもとに、ニッチではない分野への進出を図っていくのだろう。
 同社が少額短期保険の枠組みを活用するというのも興味深い。少額短期保険制度はもともと根拠法のない共済の受け皿として創設されたという経緯があり、通常の保険会社に比べると設立のハードルは低い。既存の生損保が手掛けてこなかったユニークな商品提供のほか、顧客基盤を持つ異業種からの新規参入も目立っていたが、同社のように新しいビジネスモデルのいわば実験場として少額短期保険を活用するというのは、うまくすると日本のインシュアテックの一つのモデルケースとなるかもしれない。
(客員・植村)

2018.02.16
データサイエンス分野の発展に貢献

【オピニオン】2月3集(生保版)
角 英幸氏(述)
(公益社団法人 日本アクチュアリー会理事長)

 IT研究会は、6つのグループに約80名の委員・メンバーの参加をいただいております。今回の「IT研究大会」に向けては、昨年の3月下旬に研究を開始し、ミーティングを重ね、準備を進めてこられたと聞いています。みなさんの、熱心な取組みに対して、御礼申し上げます。
 アクチュアリー会は、伝統的な分野で、約120年という歴史を積み重ねて参りました。一方で、社会・経済環境の多様化・洗練化・複雑化が進む中、アクチュアリーがそのスキル・ノウハウを発揮できる分野にも拡がりが見られます。
 一般に様々な領域で、データサイエンスの取組みが行われておりますのは、ご案内のとおりです。インターネットの普及からはじまり、IoTデバイスの進化に伴って、大量のデータが生成・蓄積され、そのデータの活用がビジネスの変革とチャンスをもたらしています。
 こうしたデータサイエンスの技術は、いずれも統計学を基礎としており、アクチュアリーにも非常に親和性が高く、その専門性が発揮できる分野です。アクチュアリー会として、重要な役割を担い、この分野の発展に貢献することで公益に寄与したいと考えております。
 アクチュアリー会の120年の歴史を紐解きますと、理論的・学術的な研究を基礎としつつ、実務的な課題にチャレンジしてきましたが、システム・ITの研究もその1つです。昭和30年代には多くの会社で電子計算機の研究が行われ、導入もされて行きました。
 現在のBIG-DATA時代の到来は、まさに、当時と同じような大変革期と言えます。技術革新により、人々の生活様式が変わり、企業のビジネスの在り方を変えていきます。時代の変化に対応するだけでなく、むしろ、新しい情報・提案を発信していきたいと考えております。
 (平成29年度IT研究大会での挨拶から要約)

2018.02.06
第54回金融トラブル連絡調整協議会を開催

金融庁は1月11日、「第54回金融トラブル連絡調整協議会」(座長・山本和彦一橋大学大学院法学研究科教授)を開催、「各指定紛争解決機関の業務状況(平成29年度上半期)」および「高齢者・障害者事案への対応」、「金融サービス利用相談室における相談等の受付状況」、「金融ADR連絡協議会(第12・13回)」の概要報告を行い、討議した。
 今回は、指定紛争解決機関の阿部全国銀行協会金融ADR部長、酒巻生命保険協会生命保険相談所事務局長、村田日本損害保険協会損害保険相談・紛争解決サポートセンター本部長、小野保険オンブズマン専務理事、小泉日本少額短期保険協会専務理事ら7氏が報告した。
 協議会では、生保、損保、保険オンブズマン、少短など8指定紛争解決機関の業務実施状況「平成29年度上半期苦情処理手続実施状況」について事務局が概要報告を行った。それによると、①苦情処理手続受付件数は8機関合計で3549件、対前期比13%減少。機関別では、全銀協とFINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター)共通で市場の落ち着きにより市場性商品の苦情が減少した。損保協会は交通事故の減少により保険金の支払事由が減少した。全銀協は、このほか住宅ローン、消費者ローンなど貸金業に関する苦情も減少した。
 ②苦情処理手続結果は8機関合計で3646件、77%の解決をみた。これは、前年同期とほぼ同水準(4195件、75%)。
 ③苦情処理手続終結に要した期間は、1月未満で解決した件数は1246件で34%、1月以上3月未満で解決した件数は1296件で36%、全体の7割、2542件は3月未満で終結し、前年同期と同水準(2972件、71%)。
 ④29年度上半期の紛争解決手続受付件数は8機関合計で576件、前年同期に比べて9%減少した。
 ⑤29年度上半期の紛争解決手続の結果(終了事由)は8機関合計で251件(和解207件、特別調停44件)、和解成立割合は42%(和解35 %、特別調停7%)で、28年上半期と同様の傾向(和解+特別調停270件、42%)。
 ⑥29年度上半期の紛争解決に要した期間は、1月以上3月未満が147件で25%(前年同期24%)、3月以上6月未満が286件で48%(前年同期48 %)、合わせると73%(前年同期72 %)で、28年度上半期と変化は見られない。
 ⑦29年度上半期の各指定紛争解決機関別和解状況は全体で42%、前年同期と同様となった。内訳は、全銀協が57%、生保協会が28%、損保協会が41 %、保険オンブズマンが77%、日本少短協会が40%。
 苦情処理手続の終了事由別の内訳件数のうち「その他30件」について説明を求められた酒巻事務局長は、「苦情段階で解決が難しい案件については紛争解決手続に移行する申立書を送付するが、申立書を送付したのち1か月以上経過したものの連絡が得られないときは一旦苦情処理手続を終了する。その後申し立てがあれば受理する前提で、その他として扱っている」と回答した。
 高齢者・障害者事案への対応について、村田損保協会紛争解決サポートセンター本部長は、「利用者へのアクセスの確保策として、ホームページの工夫や事務所のバリアフリー化に取り組んでいる。相談受付体制のあり方として、電話や文書、面談等の方法も採用し、幅広く対応するよう心掛けている」と回答、高齢・障害・健常者を区別することなく対応する基本姿勢を示した。

2018.02.01
労働条件の改善・向上へ統一闘争を推進

大北 隆典氏(述)
(生保労連中央執行委員長)

 「総合生活改善闘争」についてお話しします。
今年度も「労働諸条件全般を見据えた総合的な生活改善闘争」として位置付け、組合員一人ひとりが「働きがい・生きがい」を実感できる総合的な労働条件の改善・向上に向け、統一闘争を推進してまいります。
 生保労連では、営業職員委員会・内勤職員委員会を中心に、一般情勢、業界情勢、労働界の動向等を踏まえつつ、組合員の期待に応え、その生活を守るためにはどうしたらよいのか、といった観点から、議論を重ねて参りました。そうした議論の中で、「人への投資」を通じた組合員のモチベーション・働き甲斐の向上や、「経済の好循環実現」に向けた取組み等が重要であることを認識しました。
 具体的には、営業職員関係においては、賃金・一時金といった労働条件はもとより、厳しい募集環境下にあるからこそ、挙績の安定や、収入の向上につながる「営業支援策」の充実が重要であるとの認識のもと、引き続き「営業支援策の充実に向けた取組み」を最重要課題として位置付け、営業職員「実質的な収入の向上」をめざし、取り組んでまいります。
 内勤職員関係においては、組合員の期待や納得感に応えるべく、現行水準を確保した上で、最大限、「年間総収入の向上」に向けて取り組んでいくことを考えております。
 業界情勢は厳しさを増していますが、雇用情勢などの一般情勢にも目を向けていく必要があると考えております。各組合におかれましては難しい春闘になるかと思いますが、生保労連としても、広く労働条件全般の改善に向けた各組合の取組みの後押しとなるよう、皆さんと共に戦っていきたいと思います。
 現在、生保産業、そして組合員を取り巻く環境はめまぐるしい変化の中にあります。こういう状況だからこそ、生保労連の旗の下、生保産業で働くものの意思を結集し、懸命に取り組むことが、確かな成長へとつながっていくものだと確信しております。
(「第51回中央委員会」挨拶から要約)

2018.01.23
新組織「Dai-ichi Innovation Lab」を新設

第一生命ホールディングス
新組織「Dai-ichi Innovation Lab」を新設

 第一生命ホールディングスは、InsTechの取り組みをさらに加速させ、イノベーションの具体化による新たなビジネスモデル創出を目指した新組織「Dai-ichi Life Innovation Lab」(以下「Lab」)を、今年4月に新設する。
 同社は、今後の生保事業を取り巻く外部環境の変化やテクノロジーの急速な進展を踏まえ、新たな価値創造・顧客体験による市場創造・需要開拓や生産性向上等に向けた体制を強化する。Labは東京とシリコンバレーに設置し、グローバルでの連携を強化することで、海外先端技術を積極的に取り入れていく。
 また、第一生命・第一生命ホールディングスの人財に加え、グループ会社の第一生命情報システムのシステム開発人財、外部専門人財(中途採用)、コンサルティング会社への外部委託等の多様な人財を融合することで、これまでの固定観念にとらわれない新しいアイデアの実現を目指す。また、オフィスは複数の会社が一緒に業務に携われるコワーキングスペースを設けるなど、新しいワークスタイルを模索した先進的なファシリティを準備し、ベンチャー企業等とのオープンイノベーションを推進させる。
【Labの取組領域】
 新組織では、機動的に小規模な概念実証(=Proof of Concept)等を繰り返すことで、健康寿命の延伸・QOLの向上等を目指した新たな価値創造・顧客体験の可能性を追求する。ヘルスケア領域やシニア層を対象とした新しい付加価値の提供による市場創造・需要開拓、IoT技術を活用したビッグデータ解析による新たな価値提供の研究・開発、AI(人工知能)やVR・AR(仮想現実・拡張現実)等を活用した顧客とのインターフェース改革および抜本的な生産性向上等を目指す。

2018.01.18
保険教育の充実

【主張】1月3集(生保版)

 少子・高齢化の進行する我が国において、若年時から学校教育現場で金融教育や社会保障制度のあり方を取りあげることが拡充されている。銀行業界や証券業界等では資産運用や投資教育等について展開していると言われる。なお、2021年度の中学校学習指導要領の社会科に「民間の保険」が記載されることになったことは、保険教育の拡充を求めてきた生保協会の要望が実現したものだ。今回は、保険教育の充実について取りあげることとする。
 新学習指導要領に、生命保険が記載されることになったのは、これまでの業界各社・関連団体において、社会保障制度を補完する自助努力の役割とその重要性につき、長年に亘る各種セミナーや講座等の取組みを実施してきたことが根底にあったことを含めて評価されたものと思われる。
 学校現場に対して、従前より保険教育の重要性を認識し、実践してきたのは(公財)生命保険文化センターである。同センターの事業のうち、「中学生作文コンクール」は、文部科学省・金融庁・全日本中学校長会の後援を得て半世紀以上に亘り「わたしたちの暮らしと生命保険」を題材に作文を募集、毎年、全国の中学生から力作が送られてきている。
 昨秋、第55回全国入賞者の表彰式に出席する機会があり、入賞作品を目にすることになったが、今回は過去最多となる応募となったということだ。いずれも中学生自身を取り巻く家族との繋がりを踏まえて、万一の事故や災害、疾病に際して生命保険による保障が残された家族の生活に大いに役立てられたことを率直な感性で書かれたもので、改めて生命保険の原点を教えられた思いになる。
 また、その中には営業職員が親身になって家族に寄り添った姿を描かれた作品もあり、この職員がいかに顧客を大事にしているかが窺われる。販売チャネルの多様化が叫ばれて久しいが、生命保険契約を通じた契約者・家族との繋がりを保てるのは営業職員に優るものはないことの証となる作品と言えよう。
 これからの作文を応募してきた中学生が近い将来、社会人となり、そして家庭を築く時点において、あるいは自らの生活設計を考える際に、生命保険は必要不可欠なものとして位置付けられることを期待したい。中学生という多感な時期に、生命保険に対して自身の体験を踏まえて作文として執筆することは、彼らの今後の人生設計において有益なものとなろう。
 同センターとしては、この作文コンクールに加え、生命保険協会と連携する形で実学講座や副教材の提供、中学生向けの出前授業など強化を行っていくこととしている。これらの諸活動により、若年世代が生命保険に対する理解を深める機会が増えることになる。更なる生命保険教育の拡充を望みたい。(石原)

2018.01.11
温室効果ガス―『グスコーブドリの伝記』

【主張】1月2集
-ところが六月もはじめになって、まだ黄いろなオリザの苗や、芽を出さない木を見ますと、ブドリはいても立ってもいられませんでした(宮沢賢治著『グスコーブドリの伝記』)
 昭和七年(一九三二年)、農学者/童話作家の宮沢賢治は死の前年、東北地方の冷害を題材に本作品を雑誌『児童文学』に発表した。
 昭和十一年勃発の二・二六事件、陸軍上層部は「高橋(放漫)財政」の「出口戦略」である軍縮に反発して、東北大飢饉に無策な政府に憤る青年将校を使嗾し、叛乱を起こした。
 世界を分断する難民問題。先進国、途上国を問わず、垂直的には、新自由主義の蔓延を原因とする経済格差、また水平的には、自然破壊によるアフリカ、南アジアの旱魃/飢饉を原因とする環境格差を生じている。さらに
宗教/民族紛争に大国の介入が複雑に絡んで混乱に輪をかける(ナオミ・クライン)。
 世界の難民は総計六千万人に及ぶし、環境(気候)難民は二千万人に達する(国連)。皮肉にも、かつての植民地から旧宗主国に押し寄せる大量の難民こそ、近代西欧文明に対する地球の「しっぺ返し」と言えるだろう。
 災害大国日本でも記録的な豪雨、スーパー台風の惧れなど、地球温暖化による海面気温上昇がもたらす深刻な災害が相次いでいる。
 国際的な異常気象への対応として「COP(国連気候変動枠組条約締結国会議)」が開催されてきたが、参加国の政治/経済的思惑もあり、紆余曲折を辿っている。「冬があるのだから気候変動はでたらめだ(ドナルド・トランプ)」等と気候変動を否定する声もある。
 ただ「IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)」は科学/技術的に夏期の異常高温、冬期の異常低温など人為起源による気候変動に関する知見を積み重ねていて、これを緩和する対策をも包括的に研究/提案している(日本気象学会等『地球温暖化』)。
 米加のアクチュアリー会(保険/年金数理の職能/学術団体)は科学的に気候指数の開発を進めているという(ニッセイ基礎研)。
 過去の気温、降水量、風力また海水面の観測値から、其々の月別平均値とそれからの乖離度を算出する。保険事業での活用を目的として異常気象と経済損失/人的損失との相関関係を表す「気候リスク指数」を分析する。
 我が国の保険法では、自然災害を保険者の支払免責事項とはしていない。異常気象の発生による環境災害は地震と共に保険経営上のリスクとして一層の研究/対応が必要となる。
―火山が、いま爆発したら、炭酸ガスは上層の風にまじって地球全体を包むだろう。そして、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろう(『グスコーブドリの伝記』)
 ブドリは身を挺して火山を誘爆させ地域の温暖化を図る。スウェーデンの物理化学者、ノーベル化学賞受賞者スヴァンテ・アレニウスの温室効果ガスに関する論文(一八九六年発表)を賢治は知っていたのだろう(客員・林)
前のページへ

▲ページのトップに戻る

株式会社保険研究所は、保険業界紙を発行しています。週刊インシュアランスと統計号にそれぞれ生命保険版と損害保険版の2種類をご用意しております。
定期購買をご希望の方は、当社までご連絡ください。

  • 週刊インシュアランス
  • 決算資料統計号
  • 書籍紹介
  • バックナンバー
  • 生保版 インシュアランス 損保版 インシュアランス
  • 生保版・損保版統計号
  • その他
  • 会社情報
  • 会社案内
  • 個人情報保護方針
  • 特定商取引法に基づく表記
  • お問い合わせ
  • お申し込み